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2021年05月27日

【知 識】伊藤忠商事、豪州MCi社と「CO2固定化技術」の活用で協業


伊藤忠商事は豪州Mineral Carbonation International社(以下 MCi社)と「CO2固定化技術」を活用した事業に向けた協業契約を締結した。

「CO2固定化技術」は製鉄工程で生じる副産物(スラグ)や火力発電所で生じる石炭灰、その他カルシウムやマグネシウムを含む様々な物質(廃コンクリートなど)にCO2を吸収させることで、炭酸カルシウム等を製造する技術であり、半永久的にCO2を固定化可能であり、鉄鋼業界や電力業界等から世界的な脱炭素の流れを加速させる技術として注目されている。また製造された炭酸カルシウム等は、セメント、コンクリート、建設用資材等の原材料となり、幅広い用途での活用が見込まれる。

MCi社は2013年に豪州に設立以来、「CO2固定化技術」に関する研究開発を実施しており、同分野において世界有数の技術・知見を有しています。同社はこの技術を用いて炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム)、シリカ、その他の製品を製造することができる。従来同種の技術において必須であったCO2の「分離・回収工程」(大気中のCO2を含む気体から、CO2のみを分離・回収する工程)を省き高い経済性を発揮する有用な製品を作ることができる。(※)また、CO2をスラグや石炭灰に固定・付着させる際に化学薬品を使う必要がなく、様々な用途での使用が期待される。既に豪州連邦政府及びニューサウスウェールズ州政府が支援する同社のパイロットプラントでの実証実験を通じて、高い経済性を伴う技術として豪州国内で高い評価を受けており、世界での商業化に向けて準備を進めている。

日本国内では、政府が推進する「2050年カーボンニュートラルに伴う グリーン成長戦略」で「カーボンリサイクルは、CO2を資源として有効活用する技術でカーボンニュートラル社会実現に重要」と位置づけられ、MCi社のCO2固定化技術についても高いニーズが見込まれている。伊藤忠商事は協業契約締結を機に、今後日本国内におけるネットワークを活用し、MCi社の実証プラント候補地の紹介・選定を行い、早期の商用化を目指す。この技術で製造された炭酸カルシウム等や、これらを使用したセメント・コンクリート等の活用、また同技術と日本国内のCO2削減需要のマッチングを図る。

CO2分離回収設備に関する世界市場は2030年に約6兆円、2050年には約10兆円になると予測されており、将来的には事業拡大に向けたMCi社への資本参加や、日本国外への本技術の展開も検討する。

※ 一定以上のCO2濃度を満たす気体の場合

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:35| 知識