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2020年09月03日

【知 識】住商と木村鋳造所 米国で3Dプリンター活用の鋳造試作部品製造の共同展開


住友商事と木村鋳造所は3Dプリンターを活用した鋳造試作部品製造事業を手掛ける木村鋳造所の米国子会社Kimura Foundry America(以下 KFA)に住友商事が35パーセント出資することに合意した。

自動車や建設機械、産業機械等の分野では、部品を製造するために砂型鋳造(※1)が幅広く用いられている。砂型鋳造では部品の形状を転写するための原型を木や樹脂等を切削して成形し、その原型の形状を砂に転写して固めた砂型を用いて製造している。特に形状が複雑な自動車エンジン部品の試作品や、型が古く製造が難しい補修部品等の場合、原型製造に数週間から数か月を要するという課題があった。

木村鋳造所が導入した砂型積層3Dプリンター(※2)は原型の製造を省略し、入力した3Dデータに基づき、薄い砂の層に樹脂を一層ずつ塗布して積層することにより、直接砂型を成形するため、砂型は1日で完成し、製品納期は大幅に短縮される。また一回のプロセスで数十個以上の砂型を同時成形できる。木村鋳造所は溶解温度が1,400度を超える鉄系材料を用いた場合でも、砂の膨張を抑える技術を確立しており、製品形状に悪影響を与えない。

住友商事は長年にわたり、木村鋳造所が製造する鋳造品の海外販売を手掛けおり、KFAへの出資を通じ、住友商事グループ内の自動車部品製造事業等とのシナジー効果を狙うほか、これまで構築してきた海外顧客ネットワークを活用し、建設機械、農業機械、産業機械等、幅広い分野における事業拡大を狙う。住友商事と木村鋳造所は、米国に加えて欧州やアジア地域での展開も進める。

※1 砂型鋳造
砂で作った型に溶融金属を流し込み成型する鋳造法

※2 砂型積層3Dプリンター
薄い砂の層の上に樹脂等を一層ずつ積層し、3Dデータから立体的な砂型を直接造形する3Dプリンター。最終製品を直接造形する金属積層3Dプリンターと異なり、砂型製造以降のプロセスは従来型の鋳造法が用いられるため、試作品や補修部品であっても量産時と同等レベルの品質と機能を担保できる

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:35| 知識