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2020年07月22日

【知 識】帯広市、競馬モールと帯広畜産大 ばんえい競馬の頭数維持確保に向け共同研究


北海道帯広市と楽天グループの競馬モールは、帯広畜産大学と3者で、帯広市が主催する「ばんえい競馬(ばんえい十勝)(※1)」における競走馬(ばん馬)の頭数維持と確保を目的とした疾病予防のための共同研究を開始した。

「ばんえい競馬」は2007年に帯広市が単独で開催している(※2)。競走馬生産者の高齢化や馬主の減少等から、2018年度までの12年間で競走馬の頭数は約3割減少している。競走馬1頭当たりの年間平均レース出走回数も増加しており、競走馬への負担考慮から番組編成で定めている出走回数の中でレースを安定継続させていくために、頭数の維持と確保が課題となっている(※3)。

こうした状況を踏まえ、帯広市と「競馬モール」は、「ばんえい競馬」を盛り上げることで競走馬の生産者による頭数維持に寄与し競走馬を確保していくため、2013年からは「ばんえい十勝応援企画」を立ち上げた。同企画では「楽天競馬」で購入される「ばんえい競馬」の売上金の一部を活用し、イベントの実施など「ばんえい競馬」の馬券の販売促進に取り組むとともに、競走馬の生産者を表彰し賞金を授与する「ばんえいアワード」や、将来の馬主候補をつくるきっかけとしてユーザー向けの牧場見学ツアーを開催するなど、生産者や馬主を応援する取り組みを行ってきた。その結果、「ばんえい競馬」の売上金額は2019年度までの8年間にわたり増加している。

今回の共同研究も同企画の一環であり、競走馬の健康管理と疾病の未然防止という新たな側面から、競走馬の頭数維持と確保を図る。

競走馬の疾病には、飼料と腸内の微生物を一因とするものがあると考えられている。そこで、3者は今回の研究テーマに「日本輓系種(※4)における主要疾病の未然防止に向けた飼養管理方法の栄養学的解析」を設定し、2020年4月から2023年3月までの3年間にわたって共同で研究を行う。具体的な研究計画としては、初年度は各厩舎における飼料の調査と栄養分析を行い、競走馬の診療記録に基づく疫学的調査を実施し、次年度には、それらに加えて競走馬の糞便中の化学成分分析や微生物の遺伝子解析を行う。最終年度は、それまでに集めたデータを基に飼料と競走馬の腸内微生物、主要疾病との相関性について解析する。なお研究費用は「ばんえい十勝応援企画2019」の積立金の一部から全額拠出される。

3者はこの研究を通じて、競走馬の適切な飼養管理方法の検討基盤をつくり、飼料由来疾病の未然防止につなげていく。また安定的に競走馬の頭数を維持し確保することで、中長期的な「ばんえい競馬」の発展を目指す。

※1 ばんえい競馬(ばんえい十勝)
農耕馬として利用されてきた馬体重約1トンのばん馬に、騎手と荷物を載せた鉄そりを引かせ、坂のある障害コースで速さを競う競技。公営競技としては世界で唯一、帯広競馬場で開催されている。北海道開拓時代の伝統を受け継ぐ独特の馬文化として、「北海道遺産」にも認定されている

※2 「ばんえい競馬」は2006年までは帯広市、旭川市、岩見沢市、北見市の4市で開催されていたが、旭川市、北見市、岩見沢市が撤退を表明したため、2007年度からは帯広市による単独開催になった

※3 2007年度から2018年度までの12年間で、1頭当たりの年間平均レース出走回数は、15.4回から平均19.3回と26%増加(年間延べ出走頭数を登録頭数で割り算出)。日本馬事協会「馬関係資料(令和2年4月版)」内「III 農用馬関係」

※4 日本輓系種
馬の品種で、ばんえい競馬の競走馬はこれに含まれる

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:35| 知識