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2020年05月19日

【流 通】東大とプロドローン 海中・海底の観測を効率化するドローンを開発


東京大学生産技術研究所 海中観測実装工学研究センターの横田裕輔講師とプロドローンは、海中観測・海底観測の効率化・高速化を目指して2つの新しい観測用ドローンを開発した。

海洋場や海底地形の把握、海底の位置決定は、海洋学・地震学・水産、資源探査などの多くの学術・産業において欠かせないが、海中・海底を観測する手段は船舶やブイをプラットフォームとする場合が多く、リアルタイム性や機動性の不足が共通の課題として挙げられまる。一方で機体・燃料コストが低く人的・時間コストが非常に低いドローンの利用が陸域では急速に進展しているが、海洋観測プラットフォームとしての活用は実例や機体の動作・計測データが圧倒的に不足している。

研究グループは、時速40km以上で海面付近を高精度に位置制御しながら自動で往復できるドローンを活用することで、高いリアルタイム性や機動性を実現した海中・海底観測装置を試験的に開発し、静岡県焼津市沖において実験を行った。1つ目のドローンは、陸域運用で培われた定点保持・自動航行機能を応用して海洋観測機器の自動投下・データ収録機能を搭載しました。毎秒5m以上の風と雨が降りしきる荒天の時間帯もあった中、15分おきに予定通りの同一地点を繰り返し観測できることを確認した。この観測技術は海洋把握の高速化・簡便化、複数点の同時把握、kmスケールの海洋構造把握、海洋音響工学の精度向上に利用可能です。2つ目のドローンは、ドローンに海面着水という特異な機能を付すことで、海面において高精度GNSS(※)による精密衛星測位の機能が実現されている。悪天候下での観測に求められる海面保持性能と十分な位置データや動揺データを記録できることを確認し、海底地形調査・地殻変動調査などへの応用可能性を拓いた。また機動的ブイ観測が可能であることも同時に示され、海洋環境の準リアルタイム計測実現のために利用できる。

今後のさらなる研究・開発によって、より広い利用用途を実現する海洋観測ドローンの実現を目指す。

※GNSS
(Global Navigation Satellite System)
「GPS」や「みちびき」などの衛星を利用した測位観測システム

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通