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2019年06月26日

【流 通】スポーツ観戦における楽しさ・エンゲージメントの見える化に向けた実証実験


NTTデータ経営研究所は、テクノロジー活用によるスポーツ事業創発コンソーシアム「Sports-Tech & Business Lab(以下、STBL)」の活動の一環として、追手門学院大学 上林研究室、ウフルと共同で、IoTを活用したスポーツ観戦における楽しさ・エンゲージメントの見える化に向けた実証実験をおこなった。今後、IoTによる取得データの種類拡大、客観データと主観データの相関分析等を行うことで実証研究としての精度を高めるだけでなく、スタジアムソリューションとしての事業化に取り組む。

スポーツ産業を15兆円市場に拡大することが政府目標として掲げられているなか、「スタジアム・アリーナ改革」の議論においても「コストセンターからプロフィットセンターへ」が課題として挙げられている。そのために、スポーツ観戦体験を変革し、観客の満足を高め訪問回数を増加を促すための体験の創造が欠かせない。

しかし、観客が楽しんでいるか、チームにエンゲージメントを感じているか、熱狂しているか、再来場期待を持っているか、については把握する手段が限られていた。多くの研究は応用科学によるアプローチによって、対話法や質問紙法による調査がおこなわれてきたが、心理的興奮が大きく影響する主観的なデータの妥当性や信頼性については研究の限界が指摘されてきた。

そのような問題意識を背景として、STBLは「楽しさ、ファンエンゲージメントの見える化」と題した分科会を設置して、有識者や関係する企業と議論を重ね、IoTなどを活用して観戦者の集中度、熱狂度、満足度などを定量化する手法の検討を続けてきた。この検討結果を具体化する取り組みの第一弾として、追手門学院大学社会学部スポーツ文化コース上林研究室、ウフル、NTTデータ経営研究所は、スポーツ観戦者の楽しさ・エンゲージメントの定量化を目的とした実証プロジェクトを実施した。

実証実験は、2018年10月からBリーグ「アルバルク東京」の協力のもと、アリーナ立川立飛のアリーナ観客席に環境調査センサーを設置し、タイムアウトなどを含む試合観戦中の観客の反応データを収集した。結果、スポーツアリーナという環境とプロスポーツの実際の試合という条件下において、IoTセンサーによる観戦者の状況の調査に業界で初めて成功した。観客席のエリア別の音声データを収集・解析し、各観戦者が接している観戦環境の差を定量的に明らかにした。また、試合の撮影映像との突合により、観戦環境の変化と試合の状況などとの関係についても分析した。

実証プロジェクトを通じて、座席エリア別での観戦者状況の分析・エンゲージメントの検証が可能となった。今後は、設置するセンサーの種類を増やして、観客の脳波、表情、姿勢、動作といったようなデータの取得対象を拡げていくとともに、センサーで取得した客観データと、インタビュー調査・アンケート調査による主観データの相関を調べるなど実証研究としての精度を高めていく。また、STBLの活動の目的は、産官学連携によるビジネスの創出であることから、単に研究や実証に留めることなく、スポーツやライブエンターテイメントビジネス全般におけるスタジアムソリューションとして事業化に取り組む。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通