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2012年04月19日

【流通】Skeed スクエニの次世代ゲームエンジン向けデータ蓄積・高速アクセス基盤を共同開発

Skeedは、スクウェア・エニックスにおいて現在開発中の次世代ゲームエンジン「Luminous Studio (仮称)」における、データ蓄積および高速アクセス基盤を共同開発した。

近年、コンピューターゲーム業界では、高性能なハードウェアやモバイルブロードバンドを含む発展著しいネットワーク環境を活かした、豊かな映像表現やネットワーク制御機能に代表される演算処理の高度化を伴う、大規模かつ複雑なゲームコンテンツの開発が行われるようになってきている。同時にグローバルでのゲーム開発の潮流として、生産性を高めつつ高品質のゲーム開発を行うための、総合的なゲーム開発環境(エンジン)が求められるようになってきている。その中でも特に、大量・大容量のゲームアセット(※1)を蓄積、効率よく提供することは、その性能を決定づける基礎的かつ重要な要件になる。

スクウェア・エニックスでは、最上級のゲーム体験を提供するため、グローバル水準の技術力をとりこんだ、次世代ゲームエンジン「Luminous Studio(仮称)」の開発が進められている。その構成要素の1つであるゲームアセット向けデータ蓄積基盤を実現する技術として、Skeedの保有する大容量データを効率的に取り扱うP2P技術に着目した結果、協働体制を構築し、約1年間に及ぶ共同開発、検証を行ってきた。

今回の取り組みにおける最も重要な点は、データ保全を担保する一方で、通常のネットワーク性能を凌駕する高速なファイルアクセスとゲームアセットの提供を実現することで、特にスクウェア・エニックスにおいては、同技術とアセット管理サーバーを組み合わせることで、独自の高速分散ファイルシステムの実現が可能になった。

Skeedは、今回の取り組みを通じて、これまで蓄積してきたネットワークに関する要素技術集積体「SkeedTech(R)」をもとに、データの分散・複製・保持のみならず、大容量ファイルやアクセス集中により入手しづらいデータファイルを、可能な限り迅速に入手できる技術を開発するに至った。具体的には、複数サーバーより構成されるクラスター上に独自のスケールアウト(※2)型分散データ蓄積基盤を形成し、データを分散・複製・保持することで、蓄積データに対する高速アクセスを実現する。また、データへアクセスした端末自身も取得データを保持、配信する。これにより、ネットワークへ参加する端末数に応じたスケールアウト型データ配信基盤を形成し、更なる高速化を実現する。

 実際の検証においては、10台のサーバーに繋がった1端末から、3GBのファイルを6秒弱で取得、すなわち約4Gbpsの転送性能が計測されています。

 今回開発した技術は、データアクセスへの高速性が求められるHPC(※3)や大規模ファイルシステムの分散データ蓄積基盤としての活用が見込まれ、Skeedは今後、データ蓄積・高速アクセス基盤向け新製品「SkeedObjectStore(TM)」として販売していきます。

※1 ゲームアセット
大規模、大人数化が進むゲーム開発プロジェクトにおいて、開発された各種資産や開発に必要となる画像・サウンドなどのデータファイルの集合体のこと

※2 スケールアウト
ITシステムにおいて、構成台数の拡大がそのまま、システム全体の性能向上へ寄与すること。単体サーバーを強化するスケールアップとは対義語

※3 HPC(High Performance Computing)
スーパーコンピューターやクラウドで採用されている分散コンピューティング技術

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通