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2012年01月13日

【知識】大阪大学と武田薬品工業、ナノ粒子ワクチンの実用化・産業化で共同研究講座設置

大阪大学と武田薬品工業(以下:武田薬品)は、疎水化ポリ(γ−グルタミン酸)(γ−PGA)ナノ粒子(※1 以下:ナノ粒子)をアジュバント(※2)としたワクチンの実用化・産業化に向けた応用基盤の構築を目的とする3年間の共同研究講座を設置することに合意した。

大阪大学の共同研究講座は、大学と企業などの外部機関が協働して研究課題に取り組み、優れた研究成果を創出し、それを新産業に発展させることで社会に還元することを目指した産学連携の制度で、2006年4月に創設された。現在、バイオテクノロジーをはじめとした先端科学の分野において20を超える講座が開設されている。

武田薬品は、2012年1月1日にワクチンビジネス部を設立し、革新性の高い製品の導入や新規プラットホーム技術の確立を通じたワクチンパイプラインの拡充と、同事業のグローバル展開を追求している。この戦略の一環として大阪大学と設置した共同研究講座は、CMC(※3)研究をはじめとして武田薬品が長年培ってきたワクチンに関する技術や知識をより発展させることに貢献する。

同共同研究講座では、大阪大学で開発されたナノ粒子の基盤技術をもとに、武田薬品が有するワクチン抗原、研究開発基盤、製剤技術、品質管理・規格化、特許管理等のノウハウを融合させることで、ナノ粒子ワクチンの実用化・産業化に向けた橋渡し研究を実施する。また、ナノ粒子のアジュバントとしての特性に関する技術研究をさらに進め、次世代アジュバントの実用化・産業化に向けた研究を実施する。

※1 γ−PGA
微生物(Bacillus属)により合成される分子量数十〜数百万のポリアミノ酸。γ−PGAは大量合成が可能な水溶性の生分解性高分子であり、様々な化学修飾が可能。γ−PGAに疎水性アミノ酸を導入し、両親媒性構造を制御することで分散安定性の高いナノ粒子が形成される。疎水化γ−PGAナノ粒子は、効率よく安定的に抗原タンパク質を粒子内部および表面に保持できる特徴を有する

※2 アジュバント
ワクチン抗原と一緒に投与することにより、抗原に対する免疫応答を増強する物質であり、その作用としては、抗原の徐放化、細胞への取り込み促進および免疫担当細胞の活性化が挙げられる

※3 CMC(Chemistry,Manufacturing and Controls)
化学、製造および品質管理。CMC研究とは創薬研究で見出された新薬候補物質を医薬品として市場に供給するための、原薬や製剤の設計・製品品質の設計・製造プロセスの開発を行う研究開発活動のこと

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:35| 知識