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2011年02月24日

【物流】JR 「高速無料化及び上限料金制度」見送り要望提出

JRグループ7社は連名で、国土交通大臣、関係する国土交通副大臣及び国土交通大臣政務官に対し、「高速道路の無料化及び上限料金制度について(要望)」を提出した。

国土交通省では、2011年6月以降に高速道路の無料化社会実験として6区間の追加と中型車以上を対象とした早朝夜間の無料化を行う予定で、2011年4月からは乗用車を平日上限2千円、土日祝日上限千円(ETC非搭載車は上限2千円)とする新たな上限料金制度を発表している。
これを受け、従前から高速道路の原則無料化や上限料金制度(以下「本施策」という)に関し、実施を見送るよう求めているJR各社は、「十分な議論が尽くされず、また必要な措置がなされないまま、こうした制度改正が性急に進められていくことを強く危惧している」として、今回改めて実施を見送る要望を提出した。

同要望書では、本施策の問題点として@環境政策との整合性A負担の公平性B我が国の交通体系への影響の3点を挙げている。

@環境政策との整合性については、本施策の実施により、自動車の交通量や渋滞が増大するだけでなく、環境負荷の少ない鉄道からの転換が生じると指摘している。また、政府が掲げている「CO2 排出量を2020 年までに対1990年比で25%削減する」という極めて高い目標を実現するにあたり、物流部門も含め一層のモーダルシフトの推進が求められている中で、CO2排出量を増加させる本施策は時代に逆行するものとしている。

A負担の公平性については、本施策は一般財源を原資としているにも関わらず、本施策による受益者が高速道路の利用者に限定されることを挙げ、広く国民にその負担を求めるのは「受益者負担」の原則を覆しているとして、納得が得られないものとしている。

Bわが国の交通体系への影響については、本施策により鉄道事業だけでなく、その他の公共交通機関に与える問題にも触れ、一定のバランスの上に成り立っていた日本の交通体系が、大きく崩れつつあると指摘している。政府が進めている「交通基本法」制定に向けた議論の中でも「各種交通手段のベストミックスを確保し、持続可能な交通体系を構築する」ことが重要視されているが、本施策はこうした考え方とは相反するものと批判。全体の交通体系をどのように構築するのか、その中でこれまで地域の足としての使命を果たしてきた公共交通機関の役割をどのように位置づけるのか、そして本施策により影響を受ける公共交通機関に対する補償措置がなければ存続が困難となることなどについて、議論を尽くすことが必要不可欠としている。

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投稿者:gotsuat 09:45| 物流事業者