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2009年06月19日

【流通】住友大阪セメント アスベスト含有廃棄物を無害化処理する技術を開発

--- アスベスト含有廃棄物の化学的無害化処理技術の開発 ---

住友大阪セメントは、100℃以下でアスベスト含有廃棄物を化学的に無害化処理する技術を開発した。

現在、アスベスト含有廃棄物の処理方法としては、高温溶融法や管理型処分場(※1)への埋め立てなどが一般的に知られている。高温溶融法は1500℃以上の高温で処理する必要があり電力もしくは化石燃料等のエネルギーを大量に使用するため環境負荷が大きく、また、管理型処分場への埋め立ては、今後ますます処分場を確保することが困難になるという問題が挙げられている。

住友大阪セメントが開発したアスベスト無害化処理技術の最大の特長は、従来の高温溶融法とは異なり、100℃以下の低温でアスベストを化学的に溶解させ、化学反応で無害化させる点にある。
2008年5月から専用の実験設備を用いて化学的処理実験を繰り返した結果、100℃以下の低温において数時間で廃棄物中のアスベストを無害化することに成功した。
この実験設備で、廃棄物を湿式粉砕によって細かなスラリーとした後、反応装置内で酸性の特殊処理液と数時間反応させ、JIS A 1481(※2)に規定されている方法でアスベストの含有率を測定した結果、セメント系材料を結合材とした飛散性の耐火被覆材、保温材等およびスレートや押出建材等の廃棄物を、数時間で無害化出来ることが証明された。この無害化処理技術では、酸性の処理液とアルカリ性の結合材との中和反応熱を利用しているため、高温溶融法に比較してエネルギー消費量が少なく環境負荷が小さい点が特徴。
また、白石綿(クリソタイル)、茶石綿(アモサイト)、青石綿(クロシドライト)など種類の異なる石綿でも、同一プロセスで無害化処理を行うことが出来る。

最終的には無害化処理後の固形物をセメント原料として処理することを視野に入れた実験も開始している。将来的には、処理に困っているアスベスト含有廃棄物を、セメント原料としてリサイクルする技術の確立を目指しており、一連の結果を踏まえて実用化の検討を行う予定。


※1 管理型処分場
埋立地から出る浸出液による地下水や公共水域の汚染を防止するため、ゴムシートなどで遮水し、
浸出水処理施設等が設置されている処分場

※2 JIS A 1481
X線回折定量分析法で建材製品中のアスベスト含有率を測定する

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 10:03| 流通