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2021年10月28日

【流 通】DNP 「組合せ最適化問題」を高速で解くソフトウェアを開発


大日本印刷(以下 DNP)はGPU(Graphics Processing Unit)搭載の従来のパソコン(PC)を使用し、個々の課題に合わせて、膨大な選択肢から最適な解を抽出する「組合せ最適化問題」を高速で処理する「DNPアニーリング・ソフトウェア」を開発した。

DNPアニーリング・ソフトウェアは高価な量子コンピューターやスーパーコンピューターを使用する必要がない。工場の生産計画や人員計画の最適化、物流や運送便の経路の最適化、複数エリアでの最適なセールス経路の決定など、社会生活や企業活動で直面する多様な「組合せ問題」に関して、高額な投資をしなくても最適解を高速で導くことができる。

人々の暮らしや企業活動などでデジタル化・ネットワーク化が進み、より複雑で大量のデータを高速に処理するニーズが増加している。例えば、交通の渋滞解消や経路最適化、企業の生産計画や人員配置の最適化、投資のポートフォリオ分析といった課題に対して、膨大な選択肢から最適な解を抽出する「組合せ最適化」を行うことが有効とされている。この「組合せ最適化問題」は、課題の規模や選択肢の数などによって、最終的な解の候補が指数関数的に増加するため、コンピューターで処理する際は非常に高い計算能力が必要となる。近年、さまざまな企業が「組合せ最適化問題」に対応するハードウェアや量子コンピューティングの技術・方法などを開発しているが、専用コンピューターの導入・運用などには、膨大な設備投資や人的負荷が必要になる。

DNPは今回、こうした課題に対して印刷事業で培った文字・画像処理や自然言語処理の技術・ノウハウを活用して、GPU搭載の従来のPCで膨大なデータを高速に処理して、「組合せ最適化問題」を解くことができる「DNPアニーリング・ソフトウェア」を開発した。アニーリング(annealing)は、金属を加熱した後、徐々に冷却して安定した状態にする「焼きなまし」という金属加工の工程を指す言葉で、「組合せ最適化問題」では、各種条件を変化させながら、最も安定した状態である最適解を探索することを意味している。DNPはすでに、この「DNPアニーリング・ソフトウェア」を印刷工程の予定の自動作成に活用しており、従来の方法と比べて約10倍の高速化を実現している。従来、夕方から翌朝にかけて時間がかかっていた印刷工程の予定表作成が約1時間に短縮でき、急な予定変更にも対応が可能になった。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通