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2021年10月27日

【知 識】日本郵船 スウェーデン企業と新型係留システムの国内普及に向けて協業


日本郵船とグループ会社日本海洋科学は、スウェーデンのポリマーメーカーであるトレルボルグ傘下の海洋港湾資材メーカー、トレルボルグ・マリンシステムズが開発した港でのより安全な船舶係留システム「DynaMoor」(ダイナムーア)を、ドライバルク船の利用港を中心とした日本国内の各港に普及させるためのコンサルティング契約をトレルボルグ・マリンシステムズとの間で締結した。

船舶は船側から出される係留索と岸壁に設置されたビットをつなぐことで港に係留されるが、係留中も船体は完全に静止することはなく、海面のうねりや長周期波(※)により動揺が生じる。また岸壁の側面には船体との接触による損傷を防ぐためにフェンダーと呼ばれるクッション材が設置されており、係留索とフェンダーがバネとなって船体の動揺が増幅すると、荷役の中断や船舶の港外退避により港の稼働率が低下したり、係留索への荷重負荷が高まって破断するなどの大きな事故発生の危険性が高まる。

動揺の抑制には係留索にかかる張力を一定に保つことが有効だと考えられてきたが、船舶側で張力を調節することが難しく、陸側での調節には大がかりな設備の導入が必要になることから日本国内では解決が進んでいない。さらに近年、船舶の大型化が進み港の安全性や稼働率の一層の向上が望まれる中、船舶の動揺抑制は喫緊の課題となっていた。

この課題の解決のため、日本郵船と日本海洋科学はトレルボルグ・マリンシステムズとコンサルティング契約を締結し、トレルボルグ・マリンシステムズが開発した荷重調整型係留システム「DynaMoor」の日本国内での普及に取り組む。「DynaMoor」は岸壁に取り付けて船舶の係留索を接続し、係留索の張力を電子制御式の油圧ダンパーで調節して一定に保つ。小さな専有面積で設置することができ、荷役の安全性の向上や港の稼働率の向上、停泊中の船舶を含めたサプライチェーン全体のGHG(温室効果ガス)排出量削減につながることが期待される。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:35| 知識