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2021年09月09日

【流 通】大日本印刷 Mantraと共同でマンガのAI翻訳システム開発


大日本印刷(以下:DNP)はAI翻訳サービスを展開するMantraと共同で、マンガを多言語で制作するDNP独自のシステム「DNPマンガオンラインエディトリアルシステム MOES(モエス)」に搭載する、独自のAI翻訳エンジンを開発した。これにより翻訳者が全て手作業で行ってきたマンガの翻訳を、高いレベルでAIがサポートする。DNPは、当システムの2021年度中の実用化を目指す。

近年、Webサイトやアプリでマンガを楽しむ読者が世界的に増加しており、国内では電子と紙を合わせたマンガ全体の市場規模が、2020年に過去最大の約6,000億円を超えた。現在、海外の読者の開拓に向けて、日本のマンガを多言語に翻訳してグローバルに展開していくための制作・製造・流通体制の整備が進められている。その中でも特にマンガの翻訳は、話し言葉が多く、吹き出しごとに文章が途切れるため翻訳にAIを用いることが難しく、人の手で制作するコストと負荷が大きく、コストや負荷の面から翻訳タイトル数を抑える出版社も多い状況となっていた。

こうした課題を解決するため、DNPとMantraはマンガに特化することで精度を高めたAI翻訳エンジンを開発し、MOESに搭載して制作時の生産性の向上を実現する。

DNPマンガオンラインエディトリアルシステムMOESは翻訳版のマンガ制作に必要な翻訳・レタリング・校正・進捗管理等を行うクラウドシステムで、2016年から印刷物や電子書籍におけるマンガ翻訳の制作工程で活用されている。DTPソフトを使わずに画面上に表示されるマンガのレイアウトの吹き出しの中に、翻訳した文章を直接入力する。確認や修正も同様にレイアウトを見ながら行えるため、文章の入れ間違いなどを防止する。時差のある地域で作業する翻訳者や翻訳チェック者等の間で、データ授受や業務の進捗管理が容易となり、大幅な作業負荷軽減や作業時間の短縮を実現する。

MOESでの翻訳作業は従来、翻訳者が全て手作業で行っていたが、今回開発した機能によりあらかじめ自動翻訳された文章が入力された状態から、翻訳の確認や修正を行えるようになった。翻訳会社による評価テストではAI翻訳の導入によって翻訳に関する作業時間が、翻訳が難しいとされるジャンルにおいても、従来と比較して30%以上削減されるという結果を得た。

DNPは自動翻訳後に翻訳者による微調整やネイティブチェッカーによる校正作業の工程を設けることで、表現のニュアンスなど翻訳精度が損なわれないように努める。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通