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2021年06月11日

【知 識】住友林業、全森連、農林中金 林業用リモート式下刈り機械の実証実験を実施


住友林業、JForest全国森林組合連合会(以下 全森連)と農林中金は共同で、持続可能な森林・林業経営の実現に向け、林業用リモート式下刈り機械の実証実験を行っている。下刈り作業の負荷を軽減し、労働安全性を高めて再造林促進と担い手確保に繋げるのが目的で、性能評価や施業の工夫を含めた実験を急ぎ、2022年3月までの実用化を目指す。

日本は国土面積の約3分の2を森林が占め、総森林蓄積量は約52億立法メートルに及ぶ。脱炭素社会の実現には二酸化炭素吸収など、森林の多面的機能に対する期待が高まっている。

林業をサステナブルな産業として発展させるためには、「伐って植える」という森林・林業の循環が重要とされる。国内の森林は戦後造林された人工林が中心で、その約半数が一般的な主伐期にあり、伐採後の土地に計画的に苗木を植え、再造林する必要がある。伐採・搬出作業の機械化は進んでいるが、造林作業の機械化は遅れており、とりわけボトルネックの1つが造林後の下刈り(草刈り)作業とされている。下刈り作業は造林後数年間に渡り、夏場の炎天下で行う過酷な労働で、斜面で刈払い機を使う作業のため転倒等に伴う負傷や、振動障害の懸念があり、再造林意欲の低下や担い手不足の要因になっている。

住友林業、全森連、農林中金の3者は課題を共有し、下刈り作業の負荷軽減・労働安全性向上に向けて林業用リモート式下刈り機械の実証実験に乗り出した。

下刈り試験機の輸入・販売会社の協力のもと、イタリア MDB社製のリモート式下刈り機械(LVシリーズ)を国内の林地用に改良し、2020年より実証実験を重ねて来た。リモコンで5メートル離れたところから下刈り機を一人でコントロールできるので作業員の作業負荷・労働安全面を確保できる。今回傾斜30度程度の斜面での走行や下刈りの障害となる伐根の処理(破砕)等に目途が付いた。また夏場の人工林の下刈り用途だけでなく、天然林下に繁茂する笹地刈りへの活用により天然林の自動更新を促進する可能性や、アタッチメントの付替による冬場の除雪作業への活用可能性についても検討している。

下刈り機械の性能評価や施業の工夫を含めた実証実験を継続し、2022年3までの実用化を目指す。その後は、林業事業体での活用や、全森連を通じて全国の森林組合向け、情報提供・周知等に取り組む。農林中金は関係者間の調整や、全森連による事業スキーム構築を支援する予定にしている。

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投稿者:gotsuat 09:35| 知識