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2021年03月03日

【環 境】東洋紡 FO膜を搭載した環境配慮型の水処理システムの特許を米で出願


東洋紡は海水淡水化プラント向けに、中空糸型正浸透膜(Forward Osmosis=FO膜)を搭載した環境配慮型の水処理システムを、海水淡水化分野のコンサルタント会社SWPCと東洋紡の連結子会社 アラビアンジャパニーズメンブレンカンパニー(以下 AJMC)が共同で開発し、米国で特許を仮出願した。今後、実証実験を重ね早期の実用化を目指す。

今回共同開発したのはFO膜モジュールを搭載し、濃縮海水を効率よく利用することで、濃縮海水の排水量を削減するだけでなく、システム内で発生するエネルギーを利用することができる。

同システムでは一般的な海水淡水化プラントと同様の方式を用いて、海水を複数回にわたってRO膜で処理することで塩分を除去していく。

処理プロセスでは、初めにRO膜に高圧をかけて大部分の塩分を除去することで濃縮海水と淡水を作る。続いて淡水に低圧をかけて再度RO膜で処理することで、より純度の高い淡水と、海水より低濃度の処理水を作り出す。

次に、前述のプロセスで作られた低濃度処理水と濃縮海水を、同システム内でFO膜を隔てて接触させることで、浸透圧差により低濃度処理水側から濃縮海水側に水流が発生し、濃縮海水は希釈される。この水流により生み出されるエネルギーは、プラント内で圧力ポンプなどの動力として利用することが可能である。

一方、希釈された濃縮海水は、通常の海水と濃度が変わらないため、RO膜を用いた淡水化に再び利用することができる。通常の海水淡水化プロセスでは、くみ上げた海水から微粒子を取り除く工程において化学薬品を使用するが、希釈された濃縮海水を淡水化に再利用する場合は、予め微粒子が除去されているため、この工程を省くことができるので、これら化学薬品の使用コストも削減できる。

このように濃縮海水を有効活用する同システムは既存の海水淡水化プラントにも追加で容易に設置することが可能である。既存の海水淡水化プロセスに組み込むことにより、濃縮海水の排水量の削減に貢献するだけでなく、同システム内で発生するエネルギーを利用して造水に必要なエネルギーの一部を贖うことができるなど、大きな設備投資を伴うことなく、環境に配慮した水処理システムの実現に貢献する。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:25| 企業の取り組み【機関】