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2021年01月22日

【アジア】NEDOと日立製作所 タイで電力系統運用の低炭素化・高度化の実証事業

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はタイのエネルギー省(MOEN)と電力系統運用の低炭素化・高度化を目的とした実証事業を行う協力合意書(LOI)を取り交わした。委託先である日立製作所はタイ発電公社(EGAT)と電圧・無効電力オンライン最適制御システムの実証事業を2020年12月から開始しました。

実証事業ではEGATの送電系統に、電圧・無効電力オンライン最適制御システムを導入し、電力系統運用の高度化・効率化を通じて温室効果ガス排出量の削減を目指す。また二国間クレジット制度(JCM)活用による温室効果ガス排出削減効果の定量化を図る

近年、タイでは経済発展に伴う電力需要量の伸長により、送電系統の電力損失(以下、送電ロス)の抑制が課題となっています。また、タイ国内の主要な電源が火力発電所であることから天然ガスなどの化石燃料使用量が増加しており、環境負荷の低減を考えた電源構成の実現に向けて再生可能エネルギーの導入が求められている。

そうした中、実証事業を実施するタイ北東部では一部の火力発電所で老朽化などの理由により2025年以降の運用停止が計画されており、今後その代替として隣国からの電力購入や、水力および太陽光発電所などの新たな電源の新設が検討されているこれら複数手段による電力供給を実現するためには送電可能容量を増やす設備の増強が必要とされるが投資を要するため計画通りには進んでいない。加えて現状の系統運用では、さまざまな電源が接続した送電系統の電圧を最適化する仕組みがないため、送電ロスの抑制と安定的な電力供給の両立が難しい。

このような背景のもと、NEDOはタイのエネルギー省(MOEN)と電力系統運用の低炭素化・高度化を目的とした実証事業を実施することに合意し、協力合意書(LOI:Letter of Intent)を取り交わした。これと同時に実証事業を実施する委託先の日立製作所とタイの発電・送電事業を担う国営電力会社であるタイ発電公社(EGAT)はプロジェクト合意書(PA:Project Agreement)を締結した。

今回、NEDOは、これらの委託・協力企業とともに、EGATがタイ北東部に所有する送電系統を対象とした電圧・無効電力オンライン最適制御システム(以下、OPENVQ:Optimized Performance Enabling Network for Volt/var(Q))の実証事業を2020年12月から開始した。実証事業ではEGATの送電系統にOPENVQを導入し、電力系統運用の高度化・効率化を通じて送電ロスを抑制することにより、温室効果ガス排出量の削減を目指す。併せて二国間クレジット制度(JCM:Joint Crediting Mechanism)活用による温室効果ガス排出削減効果の定量化を図る。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:30| アジア