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2020年05月27日

【流 通】抗体検査を20分以内に完了する技術を開発 鳥インフルエンザウイルスで実証


北海道大学大学院総合化学院博士後期課程・日本学術振興会特別研究員の西山慶音氏,同大大学院工学研究院の渡慶次学教授,帯広畜産大学畜産学部の小川晴子教授,東北大学多元物質科学研究所の火原彰秀教授,Tianma Japanらの研究グループは,抗体検査のようなバイオ検査を現場で迅速に実施できる検査装置を開発し,その応用例として,鳥インフルエンザウイルス抗体を20分以内に検出できることを実証した。

鳥インフルエンザウイルスのような伝播性が高い病原体の感染防御には,感染が疑われた鳥を直ちに検査することが必要とされる。一般的にはウイルスの遺伝子を検出するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法が用いられるが,検査室のみで実施可能で,手間と時間がかかる点が欠点とされている。このほか,感染した動物の体内で産生される抗体を検出する抗体検査も用いられるが,現場で利用できる反面,判定誤差が生じやすい問題が存在した。

研究グループは,これらの問題を解決すべく現場で簡便に高精度な検査ができる装置とそれに必要となる特殊な試薬を開発した。同装置は,従来からある蛍光偏光免疫分析法(FPIA)を原理としながら,液晶素子,イメージセンサー,マイクロ流路チップからなる独自の機構を組み込むことで小型化とポータブル化に成功した。また,多数の検体を同時に測定することが可能で,検体量もわずか2μLと大幅に低減した。同装置は,現在世界的に流行している新型コロナウイルス感染者の抗体検査にも応用できる上に持ち運びも可能なため,検査現場での有力な技術になると期待される。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通