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2020年05月26日

【知 識】プライバシー保護深層学習技術を活用した不正送金検知の実証実験で連携拡大


情報通信研究機構(NICT)サイバーセキュリティ研究所セキュリティ基盤研究室、神戸大学とエルテスが進めていた不正送金の自動検知をめざした研究開発及び実用性検証に、既に連携してデータ解析を進めてきた千葉銀行に加え、三菱UFJ銀行、中国銀行、三井住友信託銀行及び伊予銀行が実証実験に参加し、オープンイノベーションによる実施体制を構築した。各組織のデータを互いに開示することなく、複数組織による協調学習が可能なシステムを目指す。

近年の目覚ましいテクノロジーの進化や経済のグローバル化が進む一方で、マネー・ローンダリング、不正送金、振り込め詐欺などの金融犯罪手法は以前にも増して複雑化・巧妙化しており、それらの脅威に対する対策は、社会課題の一つとして、より重要性を増している。中でも、振り込め詐欺等の特殊詐欺による2019年の全国の被害金額は8年連続で300億円を超え(警察庁発表)、依然として深刻な社会問題となっている。これら不正送金等の金融犯罪に対して、現状、多くの金融機関は、それぞれが保有する金融取引データに対し、ルールベースのモニタリングツールを用いて、人手で不正取引を検出しているが、これには担当者の経験等への依存やコストの課題が存在する。そこで機械学習技術を用いた不正取引の自動検知システム(AIシステム)の導入検討が進んでいるものの、単独の金融機関では十分な量の学習データを用意することが難しく、また、個人情報を含む金融取引データを各金融機関外に持ち出すことができないため複数の金融機関で協力して学習することもできず、AIシステムの普及は進んでいなかった。

この社会問題を解決するため、NICT、神戸大学とエルテスは、2019年2月から、暗号技術と機械学習技術の融合により、データを外部に開示することなく機密性を保ったまま機械学習を行うことを可能とするNICT独自開発のプライバシー保護深層学習技術「DeepProtect」を応用し、パーソナルデータの保護を図りつつ、複数の金融機関が協調して不正送金等を自動検知することが可能なシステムの実現を目指し、検知精度を向上させる実証実験に取り組んできた。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:35| 知識