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2019年06月24日

【アジア】日立製作所と日立物流 タイで輸送車両シェアリングサービスを提供

日立製作所と日立物流それぞれのタイ子会社、日立アジア(タイランド)社と日立物流(タイランド)社は、2019年6月より当地で輸送車両シェアリングサービスの提供を開始する。荷主からの輸送依頼に対応して複数の輸配送事業者の中から最適な車両を手配し、コスト低減や納期短縮を支援する。

両社は2019年1月から3月にかけてユニ・チャームの輸出入コンテナ輸送業務に輸送車両シェアリングサービスを適用して効果検証を行い、コンテナのラウンドユース(*)を従来の15%から30%まで向上できたことから、ユニ・チャーム、Siam-Hitachi Elevator、Hitachi Industrial Technology(Thailand)に対して、2019年4月から先行的にサービス提供を開始した。

2019年6月より荷主企業と輸配送業者向けのオープンなサービスとして、サービス提供を開始するとともに、順次コンテナ輸送からトラック輸送にサービス範囲を拡大する。タイ国内の製造・流通各社や日立グループを含む荷主企業および幅広い輸配送業者に対して提供することで、2023年度までにトラック21,000台での利用および年間売上80億円をめざす。両社はサービス提供を通じて、物流におけるデジタルイノベーションを実現し、交通渋滞・事故や大気汚染の低減に貢献する。

現在、タイは長期的にめざすべき経済社会のビジョンとして「タイランド 4.0(Thailand 4.0)」を掲げ、高度な経済基盤の確立と、さらなる経済発展をめざした政策を推進している。その重要な施策のひとつである、EEC(Eastern Economic Corridor:東部経済回廊)開発計画では、官民合わせて総額1.5兆バーツ(約5兆円)の投資を見込んでおり、重要産業の誘致や育成を強力に進めている。一方で貨物量や車両数の増加に伴う慢性的な交通渋滞や頻発する交通事故、排気ガスによる大気汚染、ドライバーの不足や物流コストの上昇などが深刻な社会課題となっている。タイ政府は第12次国家経済社会開発計画(2017年〜2021年)において、国内総生産(GDP)比で2016年に約14%を占める物流コストを、2021年までに12%に低減することをめざしており、物流の効率化が強く求められている。このようなニーズに応えるべく、日立製作所は2018年9月にアマタシティ・チョンブリ工業団地内に「Lumada Center Southeast Asia(以下、Lumadaセンター)」を開設した。Lumadaセンターでは、データを収集・分析し、ビッグデータや人工知能(AI)などの高度なデジタル技術の活用による新たな価値創出を通じ、工場内の製造工程や工場を跨る物流など、さまざまな分野でデジタル化に取り組んでいる。今回展開する輸送車両シェアリングサービスはLumadaセンターにおけるデジタル化の取り組みの一環として提供される。

こうした中、開発された輸送車両シェアリングサービスは、稼働中のトラックやコンテナ車の運行状況、空き車両などの情報を統合的に管理するとともに、日立製作所のAIを活用したLumadaソリューション「Hitachi Digital Solution for Logistics/配送最適化サービス」と日立物流の運行管理システムを連携させることで、最適な配車を行う。具体的には、データ解析エンジンを用いて荷主企業から受け付けた輸送依頼の集荷地点に一番近い場所の空車予定情報を検索し、輸送車両の車格や温度管理といった制約条件、スコアリングしたドライバーの評価情報、交通情報などを組み合わせてマッチングすることで、最適なタイミング・条件での配車を実現する。

これにより、従来発生していた輸配送完了後の空車回送を有効利用するとともに、集荷・納品拠点が近い異なる荷主企業の輸配送を一緒に行う共同輸配送を実現する。輸送車両シェアリングサービスを通じて、輸送依頼元である荷主企業の輸送コスト低減や納期短縮を支援すると同時に、輸配送事業者に最適な配車指示を行い、運転手の労働時間や燃料代などの低減に貢献する。サービスの運用・管理は日立物流(タイランド)社が行う。

日立アジア(タイランド)社と日立物流(タイランド)社は、幅広い荷主企業や輸配送事業者に対して同サービスの導入を拡大することで、さらなる利便性の向上やコストの最適化を図るとともに、車両数減少や積載率向上による物流の効率化により、交通渋滞・事故や大気汚染の低減に貢献する。

※ ラウンドユース
荷降ろししたあとの空コンテナを回送するのではなく、輸出時の配送に転用する取り組み

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:30| アジア