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2019年05月23日

【知 識】東工大、aiwellなど 「未病改善プラットフォーム」構築を目指し実証実験


東京工業大学(以下 東工大)の「未来型スポーツ・健康科学研究推進体」は、共同研究先企業であるaiwellと静岡県掛川市で未病(※1)改善に向けた「未病改善のための健康増進プラットフォーム」の構築に向けた実証実験を2019年2月12日〜3月26日の6週間実施した。自身による健康管理に興味のある参加者の体組成計や血圧などのデータを取り、ライフログ(後述)や血液検査のデータと統合することで、個々人に特化した総合的な健康診断を目指す。

2025年には日本の人口の3割は65歳以上の高齢者になると予想されており、超高齢化社会の到来による医療費の増大は大きな社会問題になっている。また、増加する高齢者世帯では、高齢者の生活機能の低下の発見や対処が遅れる可能性が高く、健康上のリスクも高いと考えられている。これらの社会問題にアプローチすべく、東工大「未来型スポーツ・健康科学研究推進体」、AIプロテオミクス(※2)を活用したヘルスケアプラットフォームを提供するaiwellと大崎電気工業とが協力し「地域健康増進プロジェクト」を2018年11月に発足した。

今回、掛川市の協力のもと、地域の高齢者を対象に、血液検査、スマートウォッチ、スマートメーターからのデータ等、様々な生活データを収集・活用し、公的サービス・民間サービスが連携して個人の健康を支えることを可能にする「未病改善のための健康増進プラットフォーム」の構築を目指してプロジェクトが実施された。自治体も連携した未病改善に関する実証実験は、国内初の取り組み。

「未病改善のための健康増進プラットフォーム」は、高齢者の健康状態を「見える化」するため、個人の不調具合の内観と、微量採血による血液検査データを取得する。加えて、スマートフォン、各種センサー、スマートメーターからのデータを使って生活データを収集、それらを統合して分析を行う。データに基づき、専門家や家族、行政が健康増進のためのアドバイスを高齢者に提供し、アドバイスに基づき、個々人が日々の健康改善に取り組む。介護状態になる前に分析データによる「気づき」を得ることが可能になり、行政や民間サービスによる生活改善にむけたアプローチが可能になる。

※1 未病
これまでは病気と診断されてから治療が施されてきたが、その前段階から方策を施すことが出来れば、重篤な病気に悩まされることは無いことから、近年、病気と健常の間の状態が新たに“未病”状態と定義されて、病院に行く前に、自身で病気になるのを防ぐことが出来る状態として注目されるようになった。未病診断・治療のために“病気”が定義されるが、生物学的には病気と健常との間にはっきりした境目は存在しない

※2 AIプロテオミクス
東京工業大学「未来型スポーツ・健康科学研究推進体」リーダーである東京工業大学生命理工学院林宣宏准教授が研究を進める特許技術。二次元電気泳動で網羅的に画像化された血中タンパク質のデータをAIが解析し、様々な病気や怪我になる一歩手前の状態を発見(超早期診断)する研究。敗血症においては、98.2%の精度で的確に診断を可能にしました。2018年10月よりaiwellと共同研究を開始し、2019年4月に東工大キャンパス内に「aiwell AIプロテオミクス協働研究拠点」を開設し、AIプロテオミクスの実用化に向け研究開発とその実用化を推進している

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投稿者:gotsuat 09:35| 知識