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2019年01月21日

【流 通】鉄道車両向けにAR技術を利用したボルト締結作業管理システムを開発


日立製作所はYAMAGATA、京都機械工具とともに、鉄道車両向けにAR(※1)技術を利用したボルト締結作業管理システムを開発した。作業者が装着するヘッドマウント型スマート端末のディスプレイ上へ締結すべきボルトの位置を表示し、表示どおりのボルトを規定の力で締めることができたかをメーターで確認できると同時にデジタル処理によって自動的に管理することができる。今後は実運用に向けた現場での実証を進め、鉄道車両のさらなる製造作業の効率化と品質の向上を図る。

鉄道車両製造では、機器類を固定するボルトが走行中も緩むことがないように、確実にボルトを締める必要がある。これまで日立製作所では、デジタルトルクレンチシステム(※2)を使い、自動で締結力を判定するとともにその結果を記録していた。具体的には、作業者がタブレットPC上に表示されたボルトを選択後、連動するデジタルトルクレンチによって締結作業をすることにより、自動的に締結結果の照合と合否判定、データベースへの登録を行っていた。この方法では、作業者はタブレットPC上で作業対象のボルトを選択、指定する必要があった。また、タブレットPCで選択したボルトと実物のボルトが相違ないことを確認して締めつけ作業を行うが、タブレットPC上で指定したボルトと実際に締結したボルトが一致しているかの確認はシステムで自動的に判定することができず、作業ごとに作業者と検査員などが人手による複数回の安全性、品質確認を行ってきた。

日立製作所は従来のデジタルトルクレンチシステムに加え、ヘッドマウント型スマート端末を利用したAR技術を導入することで、締結作業全体のデジタル処理による自動での合否判定を実現した。ヘッドマウント型スマート端末のディスプレイには締結すべきボルト上にボルトの3D モデルが表示され、事前に入力した3Dモデルに付随する設計データを元に作業者を誘導する。スマート端末に付属するカメラは締結作業を常時監視しており、デジタルトルクレンチとの連携により、指定のボルトが規定の力で締められたかを自動判定する。作業が指定通り行われたと判定された場合は次の作業が表示され、ボルトの締結が不十分だった場合などは、再度作業を行うよう表示される。これにより作業者は、従来のようにタブレットPC上で指定したボルトと実際に締結したボルトが一致していることの確認に手間取ることなく、ヘッドマウント型スマート端末のディスプレイを通した視界上で効率的に作業を実施することができる。


※1 AR(Augmented Reality、拡張現実)
スマート端末を通して実環境にデジタル情報を重ね合わせる技術

※2 デジタルトルクレンチシステム
デジタル式トルクレンチとタブレットPC により締結力の判定と記録を自動で行うシステム

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通