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2018年12月06日

【流 通】科学的産地推定技術を取り入れたカシミヤ品質検査システムの実用性検証


ケケン試験認証センターとNTTは、科学的に産地を推定する工程を取り入れたカシミヤの品質検査システムに関する実証実験を実施する。

両社は主要産地で採毛したカシミヤ原毛の安定同位体比分析(※1)を、NTTが保有する高性能レーザを用いたガスセンシング技術(※2)の利用と前処理法の工夫により、安定して高精度に行えるようにし、安定同位体比と産地の相関関係を明らかにした。実験では実際の品質検査工程の中で、従来の光学顕微鏡による目視検査に加え安定同位体比分析を行い、あらかじめ産地情報と関連付けて蓄積されているデータと照合することにより、カシミヤの産地を科学的に推定する。市場に流通しているカシミヤ製品を対象に産地推定を行い、表示産地と比較することで、参照データとして必要な蓄積データ数や推定精度など、産地推定システムの実用性を検証し、2019年夏以降のサービス化をめざす。

近年、グローバル化が進む中、国内市場において、高級獣毛であるカシミヤ製品を、様々な流通経路から手ごろな値段で手に入れられるようになった。反面、品質低下の懸念から、多くのアパレル企業や販売店では、消費者が安心して商品を購入できるよう、正しく品質表示されているか、厳しい品質検査がされている。また、カシミヤ原産国では、消費者へ安心して高品質な製品を供給するだけでなく、ブランド化による生産者保護につながるトレーサビリティが確保された管理体制作りが始まっている。文書情報による管理と科学的な品質検査が実施される中で、従来の光学顕微鏡検査による外見の特徴からでは、産地を推定することは不可能だった。

今回実施する実験では、NTTの保有する安定同位体比分析技術により、カシミヤに含まれる元素の安定同位体比を安定して高精度な分析を行い、あらかじめ産地情報(地理情報や、飼育情報含む)と関連付けて蓄積された安定同位体比データと照合することで、産地を推定する。産地推定精度を定量的に評価することで、必要な蓄積データ数や産地推定アルゴリズムの有効性を明らかにし、品質検査過程に科学的な産地推定工程を取り入れたシステムの実用性の評価をおこなう。

※1 安定同位体の分析
水素や酸素など同じ元素でも、同位体と呼ばれる質量数(原子の重さ)の異なる原子が存在します。動植物が取り込む安定同位体の比率は、地域等によって異なることが知られており、その比率を正確に調べることで産地推定等に利用されている

※2 レーザガスセンシング技術
ガスにレーザ光を照射すると、ガスによる光吸収が生じます。吸収波長と吸収量を調べることで、ガスの種類や濃度を調べる技術です。NTTが光通信分野で開発した高性能なレーザ光源を利用することで、高感度、高分解能な分析が可能

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通