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2018年06月04日

【環 境】住友電工 畜産排水処理用途に適した簡易型ポアフロンMBR装置開発


住友電気工業は、畜産環境整備機構の畜産環境技術研究所(以下 畜環研)と共同で、既存の養豚用浄化槽に外付け可能な簡易型ポアフロンMBR*1装置を開発した。

従来、畜産排水などの有機成分を含む排水の処理には、活性汚泥法とよばれる方法が採用されてきたが、排水水質や汚泥の性状によって分離性能が不安定で、処理水とともに汚泥が流出するなど、維持管理が難しいという課題がある。一方、その解決策として、活性汚泥槽内にろ過膜モジュールを沈め、汚泥などを分離する方法(MBR)も一部で使用されているが、膜モジュール設置のための改造工事や、高い汚染度の排水を運転管理する難しさが課題となり、普及が進んでいない。

住友電気工業は畜環研と共同で、ケース内に多数の膜を束ねて収納したケーシング型のポアフロン水処理膜*2モジュールを使用することで、既存設備をそのまま使用でき、短工期で稼働後の維持管理も容易、かつ装置構造がシンプルな簡易型ポアフロンMBR装置を開発した。

日本中央競馬会の畜産振興事業の助成を受け、畜環研が実施した養豚場の汚水処理実証試験では、簡易型ポアフロンMBR装置による安定した汚水の処理性と装置の操作性の維持、細菌・原虫の除去などの衛生面での向上が確認され、簡易型ポアフロンMBR装置の汚水処理に対する適合性と、その性能が実用レベルに到達していることが実証された。

*1 MBR(膜分離活性汚泥法:Membrane Bio Reactor)
活性汚泥による生物処理と、膜分離による物理処理を組み合わせた排水処理方式で、排水処理施設の設置面積を大幅に削減できる。

*2 ポアフロン水処理膜
PTFE (四フッ化エチレン樹脂)製水処理膜で、単一素材でできた中空糸膜としては、他素材膜対比 8〜10倍の強度がある。簡易型ポアフロンMBR装置に採用するポアフロンR膜モジュールは、外径2mmの柔軟なチューブ状の中空糸膜を数千本束ねて円筒ケース内に装填していますが、高い柔軟性により膜が揺れやすく、その素材特性から膜が汚れにくくなっている。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:25| 企業の取り組み【機関】