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2018年04月27日

【流 通】日立システムズ 建築物の点検作業を効率化する「自動劣化診断機能」開発


日立システムズは日立建設設計の建築物診断ノウハウと、AI(人工知能)技術を活用し、ビルなどの建築物等の点検作業を大きく効率化する、劣化箇所の「自動劣化診断機能」を開発した。

この機能はドローンの操縦や撮影代行、撮影した画像の加工と診断、データの保管・管理などをワンストップで支援する「ドローン運用統合管理サービス」の一つとして、2018年4月から提供開始する。日立システムズは、今回機能強化した「ドローン運用統合管理サービス」により、建築物・構造物の点検作業や点検結果の判定、点検レポートの作成・管理、維持保全計画策定までを支援する。

昨今、国土交通省が主導して建設生産システム全体の生産性向上をめざす取り組み「i-Construction」においてドローン等の活用が推奨されるなど、ドローンの利用が急速に拡大している。 また、ビルや橋梁、プラントなどの高所、広範囲の点検時にドローンを活用して安全かつ効率的に劣化状況を把握したい、というニーズが増えてきている。ドローンを活用した点検作業では大量の写真を撮影し、その中のひび割れなどの劣化箇所を発見、管理する。しかし、撮影した劣化箇所の構造物全体における位置の特定や、過去の劣化と比較した進行具合の確認、さらには点検作業後の報告レポート作成などに多くの時間を必要としており、正確に効率よく作業を実施できる仕組みが求められていた。

こうした背景を踏まえ、日立システムズは日立建設設計の協力を得て、ドローンで撮影した写真データから劣化箇所を自動抽出する機能を開発した。さらに、自社開発した3次元管理台帳機能や、点検作業レポート作成機能と連携し、構造物の点検作業を大幅に効率化できるようにした。

今回の機能強化は、AI技術の一つであるディープラーニングを活用した診断モデルと、ひびなどの写真データを蓄積したデータベースを用いて写真を診断することで、ドローンなどで撮影した大量の点検写真の中から劣化箇所が写った写真を自動で抽出し、これにより、従来、目視に頼っていた劣化箇所の判定を自動化できるだけでなく、作業者によって異なっていた判定基準の標準化を図ることができ、点検作業の効率化と標準化に大きく寄与する。さらに、自動的に抽出された劣化箇所は、ドローンで撮影した大量の2次元画像(写真)から生成した構造物全体の3次元モデル上でも管理することができ、点検作業の報告レポートを作成する際は、劣化箇所にマーキングやコメントなどを入れた状態で、あらかじめ定めたフォーマットの報告レポートに画像データとして取り込み、点検結果報告書を自動生成する。

また、維持保全計画を策定する工程では、劣化状況に応じた優先度なども含めたうえで、日立建設設計とともに維持保全計画を提案する。これらにより、これまで多くの時間を要していた点検作業の後工程においても、作業効率を大幅に向上することが可能となる。

日立システムズは、2016年9月に「ドローン運用統合管理サービス」の販売を開始し、これまでも顧客ニーズに合わせて機能強化を実施してきた。今回新たに開発した「自動劣化診断機能」は、点検対象物として、まずはビルなどの建築物向けに提供を開始し、今後、橋梁やトンネル、プラントなどにも順次提供範囲を拡大していく。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通