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2018年03月01日

【流 通】ウェアラブル機器等を活用し管理栄養士が関与する健康改善研究開始


国際医療研究センター、エス・エム・エスとみずほ情報総研は、2018年3月1日より段階的に複数の企業健康保険組合を対象に、「ウェアラブル機器等を活用した管理栄養士伴走による健康改善介入研究」を開始する。3者は2017年8月に日本医療研究開発機構の研究事業(※1)に採択されている。

この研究事業では、HbA1c(※2)の値が6.0%以上8.0%以下の条件を満たし、参加同意が得られた約150名に対し、遠隔での健康改善指導サービスの提供を行う。2018年3月から段階的に開始し、1年間の介入を予定している。期間中、専門医監修のもと、スマートフォンアプリの活用と管理栄養士などの医療者の積極的な介入により、行動変容や血糖コントロールに対する効果を検証する。

糖尿病は、我が国では罹患者数が予備群を含め約2000万人にのぼると推計されており、進行すると網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き起こすリスクが高まり、健康寿命を短縮させる最も重大な疾患の一つとなっている。糖尿病という疾患の特性上、患者の行動変容が治療に重要であることが知られており、これまで電話や対面による生活療養指導の有用性が報告されている。また、いくつかの臨床研究において、ウェアラブル機器などIoT(Internet of Things)を活用した自己モニタリングにより患者の行動変容を促進し、血糖コントロールの改善が認められることが報告されている。しかし、いずれの研究も症例数が少なく、また観察期間も短いため、IoTの有用性を証明できる質の高い臨床研究が必要とされている。

研究事業は、日本糖尿病学会主導のもと、HbA1cの値が6.0%以上8.0%以下の参加者(糖尿病予備群ないし2型糖尿病患者)を対象とし、ウェアラブル機器等から取得した健康情報をもとに、アプリからのメッセージ等による介入を行う。患者の行動変容を促進できるか、血糖コントロールの改善効果が得られるかを科学的かつ統計的な根拠をもって証明する「臨床研究フィールド」と、新たなサービスモデルの開発につながる探索的な研究を行う「サービスモデル研究フィールド」により、医学的・科学的なエビデンスの創出を目指す。

エス・エム・エスとみずほ情報総研は、2016年に経済産業省委託事業(※3)において、企業従業員の行動変容を促進し、生活習慣病を予防する「個別化健康サービス」のビジネスモデルの実現を目指し、参加者の健康づくりの継続や健康状態の改善等の効果等の検証を実施した。この経験と知見を活かし、企業健保の加入者を対象にIoT活用の有用性を検証する。

※1 平成29年度「IoT等活用生活習慣病行動変容研究事業」における「IoT活用による健康情報等の取得及び介入を通じた生活習慣病の行動変容に関するエビデンス及びビジネスモデルの創出に関する研究」

※2 血液中の総ヘモグロビン量に占める糖化ヘモグロビンの割合。過去1〜2カ月の血糖値の平均を反映するとされ、糖尿病の診断に使われる。日本糖尿病学会では、HbA1c5.6%〜6.5%未満は保健指導が必要なレベルとされている。 

※3 経済産業省 平成27年度補正予算「IoT推進のための新産業モデル創出基盤整備事業(企業保険者等が有する個人の健康・医療情報を活用した行動変容促進事業)」

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 08:45| 流通