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2017年10月19日

【環 境】「セメント製造工程で発生するCO2の藻類への効率的な固定化技術」開発に着手

三菱マテリアルは、筑波大学(藻類バイオマス・エネルギーシステム開発研究センター)を代表者として、筑波大学のベンチャー企業である藻バイオテクノロジーズと日本電気と協力して、「セメント製造工程で発生する高濃度CO2の特定藻類への効果的な固定化技術」および「培養した藻類から高機能なバイオプラスチック素材を製造する実用化技術」の開発に着手する。

藻類の培養は農地に適さない土地でも培養可能なため、食糧生産と競合しないという長所がある。また、森林を構成する樹木は幹や枝という形で炭素が長期間貯蔵されるが、藻類は循環的に利用できる植物であり、十分なCO2量、栄養塩、太陽光のもとで増殖・収穫を繰り返すことで、化石資源代替として持続的に利用できる。更に強度や耐熱性などの機能性に優れるバイオプラスチック用素材の主要成分として有効な長鎖脂肪酸や多糖類を高効率で生産する能力に優れている。しかも、藻類は水中で生育するため、セメント製造や火力発電所などから排出される高濃度CO2を水中に注入すれば、藻類によって効率的に固定化できる。このようにCO2発生源と藻類培養プロセスを連携させて、高機能なバイオプラスチック素材製造の一環プロセスを構築し、高濃度CO2を利用したバイオプラスチック素材の代替品として利用することによって、大量のCO2削減を実現できる。しかし、このような藻類由来の高機能なバイオプラスチック素材の生産と安定供給に係る技術・システム開発は立ち遅れていた。

そこで、素材生産の中でもセメント製造工程で発生するCO2に着目し、同社はセメントプロセスから高濃度かつ低有害成分のCO2を回収する技術の開発を行う。さらに実排ガスを用いた藻類培養条件の最適化をラボ試験で行った後、培養槽を用いた実証実験を同社と筑波大学が共同で行う。最終的には、回収された高濃度勝低有害成分のCO2ガスを利用し、太陽光での光合成により特定藻類を生産し、高強度・高耐熱のバイオプラスチック素材を製造する。これらの製造工程ではセメント製造時の低温排熱を有効活用すると共に、製造時に発生する残渣を同工程の熱エネルギーとして利用するというモデルを前提にしている。同研究開発では、同モデルを実証し、平成33(2021)年度内を目標に藻類由来の高機能性バイオプラスチック素材の実用化を目指す。

三菱マテリアルは、ビジョンの中で「ユニークな技術により、人と社会と地球のために新たなマテリアルを創造し、循環型社会に貢献するリーディングカンパニー」となることを掲げており、国連が主催する持続可能な開発目標の実現においても、技術開発を通じて貢献する。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:25| 企業の取り組み 【機関別】