<< 前のエントリ合通ロジのトップページへ
2017年09月25日

【流 通】住友電気工業 超硬コーティングドリル「マルチドリルMDM型」を開発・販売開始


住友電気工業は、ステンレス鋼や難削材の穴あけ用超硬コーティングドリル「マルチドリルMDM型」を開発し、2017年10月より販売を開始する。

近年、自動車の燃費改善に伴うエンジンの小型・過給器化(※1)が進んでいることに加え、航空機市場の拡大とともに、ステンレス鋼やチタン合金、耐熱合金などの難削材を使用した部品の穴あけ需要が高まっている。これらの被削材の穴あけ加工では、刃先が高温となりやすく、刃先の摩耗増大や刃先に被削材成分が溶着しドリルが欠損するなど、工具寿命が短くなる傾向がある。

このような課題の解決に向けて、住友電気工業は「マルチドリルMDM型」を開発した。「マルチドリルMDM型」は流体解析をもとに、切れ刃側へ切削液を供給し、刃先を効果的に冷却する独自技術の「Bean Jet Cooling」を適用した。また、設計の最適化と新開発のコーティングの採用により、低抵抗と良好な切りくずの排出性を実現した。ステンレス鋼の穴あけ加工では、穴あけ加工後の穴内壁の加工硬化(※2)を低減する。これにより、従来品よりも長寿命・加工コストの低減に貢献する。

■特長

1. 油穴の形状は豆形で、従来の丸形状の油穴よりも断面積が大きく、切削液の吐出量が約2倍になった。また、油穴に凹みを設けたことで、効果的に切削液を刃先側へ供給できる。この「Bean Jet Cooling」技術により、ドリルの冷却効果が高くなり、特に刃先が高温となりやすいステンレス鋼や難削材の穴あけ加工での工具の長寿命化を実現。

2. 広い切りくずポケット(※3)を備えた同社独自技術のRXシンニング(※4)を採用しており、これにより、穴あけ加工時の切削抵抗を従来比で約20%低減し、安定した加工が可能となった。強円弧刃型を採用したことで、切りくずを細かく分断し、切りくずの詰まりによるドリル折損や、巻きつきによる加工機の停止も防ぐ。また、刃先と被削材の接触面積を低減すると共に、同社独自のコーティング技術「Absotech」の採用により耐熱性・潤滑性が向上したことで、穴加工後の穴内壁の加工硬化を低減した。

※1 過給器
エンジンなどの内燃機関に強制的に圧縮した空気を送りこむことで、エンジンの出力を高める装置

※2 加工硬化
加工変形によって金属材料が硬くなることで、後工程で工具が欠損しやすくなる

※3 切りくずポケット
切りくずがドリルに巻きついた際、切りくずを排出するために刃先部に設けられたスペース

※4 RXシンニング
通常は直線形状であるドリルのシンニングと呼ばれる中心部分を曲線形状にする技術。切りくずポケットが広く、切削抵抗が低減されるので、能率を上げてもドリルが破損しにくい

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 10:09| 流通