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2017年01月25日

【流 通】ワクチン製造時における抗原変異の出現を半減させることに世界で初めて成功


川崎医科大学 微生物学教室の内藤忠相助教・齊藤峰輝教授らは、筑波大学および国立感染症研究所と協力して、製造過程でインフルエンザワクチンの有効性が低下するリスクを従来法に比べて半減できる、画期的なワクチン製造法を開発した。

現行のインフルエンザワクチンは、鶏卵(有精卵)を用いてウイルスを増やし、分離・精製して製造されている。そのため、ウイルスを卵の中で複数回増やして卵での増殖に適応させることが必要だが、この過程でワクチンの有効性にかかわるウイルスの遺伝子にも変異が起きる場合があり(これを抗原変異という)、有効性が低下したワクチンが製造されてしまうリスクが避けられない。これは、世界中のワクチン製造をしている国が共通して抱える難問であり、その対策が研究されている。

研究グループは、インフルエンザウイルスが持つ遺伝子複製酵素(ウイルスポリメラーゼ)を人為的に改変することで、遺伝子変異の発生頻度を半減させた新しいワクチン製造用ウイルス(ワクチン製造株)の開発に世界で初めて成功した。これを用いれば、従来法と比較して抗原変異が起きにくくなり、効率良く有効なワクチンの製造が可能になる。

インフルエンザワクチン製造のためには、特別な施設の中で飼育された鶏が生む膨大な数の有精卵が必要であり、今回の方法が実用化されれば、製造コストの低減によりワクチンの価格が抑えられることも期待できる。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:45| 流通