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2016年11月04日

【環 境】大陽日酸 工業炉分野で代替燃料であるアンモニアの社会実装に一歩近づく


大陽日産は、大阪大学大学院工学研究科教授の赤松史光らの研究グループとアンモニア燃焼の工業炉分野への適用を目指し、共同研究を実施している。今回アンモニアを燃料として、NOx(窒素酸化物の総称)の発生を環境基準以下まで抑制し、同時に火炎の伝熱強化を達成する燃焼技術の開発に成功した。

現在、全世界のエネルギーの約80%が化石燃料の燃焼により得られており、燃焼を用いたエネルギーインフラが社会を支えている。日本国内では年間約14億トンのCO2が排出され、その40%を産業分野が占めており、更にその25%は素形材産業を支える約40000基におよぶ工業炉から排出され、省エネルギー技術や化石燃料に代わる新たな燃料を用いる燃焼技術の開発が急務となっている。アンモニアは燃焼時にCO2を一切排出せず、従来の化石燃料に対する代替燃料の一つと考えることが出来る。一方で窒素を含んでおり、燃焼時に多量のNOxが生成される可能性がある。そこで、現行の環境規制をクリアしながら、火炎の伝熱強化を達成する技術の開発に取り組んだ。

大阪大学では、アンモニア燃焼における酸素富化適用の有効性について火炎温度上昇およびNOx生成抑制の観点から明らかにすると同時に、アンモニア火炎の伝熱はアンモニア燃焼時に発生する水蒸気からのふく射が支配的であると示した。

大陽日酸では、燃焼における火炎温度や伝熱効率、排出ガス成分等の特性について明らかにした。火炎温度の上昇によるNOx生成を最小限に抑制するには段階的に炉内の雰囲気を巻き込むことで火炎温度を均一化する多段燃焼と、酸素富化燃焼を組み合わせた燃焼技術が有効であることを見出した。この技術により火炎ふく射を強化すると同時にNOx排出濃度を大幅に低減し現行の環境基準をクリアするアンモニア燃焼による工業炉運転を実現。

今回の開発により、工業炉に対して従来の化石燃料を用いることなく運転することは可能であり、CO2排出量を劇的に削減する大きな可能性を示した。今後は工業炉の実生産に適用可能な規模での火炎ふく射強化手法および低NOx化手法のスケールアップに関する検証を行い、工業炉における開発目標達成の見通しを得ると同時に、アンモニア燃焼技術の工業炉分野への社会実装を目指す。

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投稿者:gotsuat 09:20| 企業の取り組み 【機関別】