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2016年08月08日

【知 識】長崎大学と東芝メディカルシステムズ 遺伝子検査システム開発に向けた共同研究開始


長崎大学と東芝メディカルシステムズは、熱帯感染症や新興・再興感染症を対象とした新たな遺伝子検査システム開発についての共同研究契約を締結するとともに、長崎大学 熱帯医学研究所内に、「東芝メディカルMS(※)ラボ(Molecular Solution Laboratory)」を設置し、共同研究を開始した。

近年、グローバル化の進展により、デング熱やジカ熱など途上国の病気ととらえられていた熱帯感染症や新興・再興感染症が、発生国だけにとどまらず国境を超えた問題として、公衆衛生だけでなく世界経済にも大きな脅威となっている。熱帯感染症等の制圧には早期診断が重要であり、遺伝子検査は原理的に高感度に検出できるという特徴から将来的な普及が期待されている。しかしながら、複雑な前処理手順を安全に行うには検査者に一定の熟練度が要求されるため、検査時間全体の短縮(迅速)や手順の簡易化(簡単)による非熟練検査者への二次感染防止(安全)に課題が残っている。こうしたなかで、熱帯感染症等の最新情報が集まりやすく、遺伝子検出手法に関する研究が進められている大学と、実際に使える製品としての実用化を目指す企業が密に連携することによって開発・普及までの時間を大幅に短縮し、迅速かつ簡単で安全な遺伝子検査システムの早期実用化を目指す。

長崎大学はグローバルに教育・研究展開し、熱帯感染症や新興・再興感染症に関する研究で多くの成果を重ね、感染症の制圧に向けて大きな役割を担い、最先端の研究を進めている。一方、東芝メディカルシステムズは、遺伝子検査システムを用いた家畜感染症検出キットやコメ品種識別キットを製品化、さらに長崎大学と連携し、2015年には判定時間が約11.2分と従来システムに比べて1/6程度に短縮できる「エボラ出血熱迅速検査システム」を実用化し、ギニア政府に供与した実績を有している。また、世界的な課題となっているジカ熱対策のため、ジカウイルスの迅速検査システム開発でも連携している。

長崎大学と東芝メディカルシステムは2016年7月、学術面からのアプローチとモノ作りからのアプローチを融合させ、更に完成度の高い遺伝子検査システムの開発を加速させることで合意し、共同研究契約を締結した。これを足掛かりとして、より密接な産学連携を進め、長崎大学での研究成果の普及・実用化を加速させる体制を構築していく。また東芝メディカルは熱帯感染症診断システムに本格的に参入し、世界に貢献する。

※ MS Molecular Solution
細菌・ウイルスなどの遺伝子やたんぱく質など分子配列の解析をより正確かつ迅速・簡単に、低コストで実用化、普及を目指すミッションを意味している

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:35| 知識