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2016年07月19日

【環 境】ホンダ 重希土類完全フリー磁石をハイブリッド車用モーターに世界で初採用


大同特殊鋼と本田技研工業は、ハイブリッド車用駆動モーターに適用可能な高耐熱性と高磁力を兼ね備えた、重希土類完全フリー(不使用)熱間加工ネオジム磁石を世界で初めて実用化した。ホンダは、2016年秋発表予定の新型「FREED(フリード)」への採用を予定している。

ハイブリッド車など電動車の駆動モーターには、世界最強の磁力を持つネオジム磁石が使用されており、今後、急激な需要拡大が見込まれている。ハイブリッド車用駆動モーターにおいて、ネオジム磁石は高温環境下で使用されるため、高い耐熱性が要求される。その耐熱性を確保するために、従来は重希土類元素(ジスプロシウム、テルビウム)が添加されてきた。

しかし、重希土類元素は世界的に有力鉱床が偏在し、希少金属(レアメタル)にも分類されるため、安定調達・材料コストの観点でリスクを抱えている。重希土類元素の使用量を低減することが、ハイブリッド車駆動モーター用にネオジム磁石を使用する上で、大きな課題の一つだった。

大同特殊鋼の完全子会社であるダイドー電子では、一般的な製造工法である焼結工法とは異なる熱間加工法により、ネオジム磁石を量産している。熱間加工法は、ナノレベルの結晶粒を高度に配向させることができる技術で、一般的な焼結磁石の10分の1程度の微細な結晶粒組織を得ることで、より耐熱性が高い磁石を製造可能としている。

今回、大同特殊鋼が熱間加工法の技術をさらに進化させるとともに、ホンダが駆動モーター開発の経験を活かし、磁石形状を見直すなど、共同で開発を進めてきた。そして、重希土類元素を全く使用せずに、ハイブリッド車用駆動モーターに適用可能な高耐熱性、高磁力を実現したネオジム磁石を世界で初めて実用化した。

さらに、ホンダは、この磁石に対応した新しいモーターを設計した。磁石形状に加えてローター形状も見直し、磁石にかかる磁束の流れを最適化することで、重希土類完全フリー熱間加工ネオジム磁石をハイブリッド車用駆動モーターに採用可能とし、トルク、出力、耐熱性において従来の磁石を用いたモーターと同等の性能を達成していたとしている。

この技術の採用により、ネオジム磁石の適用拡大に際し、課題であった重希土類元素の制約から脱却したことで、その資源リスクを回避、調達ルートの多様化も図ることが可能になった。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:25| 企業の取り組み 【機関別】