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2016年06月21日

【知 識】「日立北大ラボ」を開設 北海道が直面する社会課題解決に向け協創


北海道大学と日立製作所は、「日立北大ラボ」を、北海道大学内に2016年6月1日に開設した。「日立北大ラボ」では、北海道が直面している少子高齢化や人口減少、地域経済の低迷、地球温暖化などの社会課題解決に向けた共同研究を推進する。日本の他地域に先駆けて、こうした社会課題の解決に挑戦していくことで、日本政府が提唱する「超スマート社会(※1)」の実現策(Society5.0 ※2)を、北海道から発信する。

現在、日本政府は、経済や社会の変革に対応した新たな価値を創出し、豊かな暮らしがもたらされる「超スマート社会」を未来の姿として共有し、世界に先駆けて社会問題の解決を実現(Society5.0)するという方針を掲げ、産学官一体となってさまざまな社会課題の解決に向けた取り組みを始めている。
例えば、日本の大きな社会課題の一つとして超高齢化が懸念され、今後、本格的な人口減少時代を迎えると言われている。こうしたなか北海道では、自然減に加え、進学や就職目的での北海道外への転居などにより4年連続で人口が減少し、現在の人口減少率は全国2位となっている。さらに北海道内では、都市部への人口の一極集中が進むことで、地方の過疎化による深刻な経済停滞に加え、地球温暖化などの環境問題などの社会課題も顕在化している。

北海道大学と日立製作所は、北海道が直面している、こうした少子高齢化や人口減少、地域経済の低迷をはじめ、顕在化する地球温暖化などの社会課題の解決に向け、両者の取り組みを融合して共同研究を推進するため、「日立北大ラボ」を開設した。
北海道大学と日立製作所では、これまでも、独自の先端技術を融合させた陽子線がん治療システムの共同開発や、北海道大学が推進する北大COI(※3)(食と健康の達人拠点)事業を通じ、セルフヘルスケアプラットフォーム(※4)実現に向けたアプリケーションの開発などに取り組んできた。今回、北海道大学内に開設した「日立北大ラボ」では新たに、北海道大学 電子科学研究所との連携により、社会課題を数学モデルに置き換えて最適解を導出することのできる新概念コンピューティング技術の開発を推進する。また、温暖化によって変動する環境が北海道経済に及ぼす影響を多角的に分析することにより、地域の経済発展を実現する方策を共同で研究していく。これらの研究テーマを通じ、北海道地域を巻き込みながら、北海道の社会課題に対し、絶え間なくイノベーションを創出するエコシステムの構築をめざす。北海道という実社会での実証実験を通じ、日本の他地域でも活用、展開可能なエコシステムを開発する。

今後、「日立北大ラボ」では、これらのテーマを始めとした共同研究に取り組み、イノベーションを協創する。また、北海道の地域社会を巻き込んだ実証実験などを通じて社会課題の解決策を見出し、それを日本の他地域に応用、展開していくことで、「超スマート社会」の実現(Society5.0)に貢献する。

※1 超スマート社会
必要なモノ・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細やかに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会

※2 Society5.0
サイバー空間とフィジカル空間(現実社会)が高度に融合した「超スマート社会」を未来の姿として共有し、その実現に向けた一連の取り組みのこと。狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続くような新しい社会を生み出す変革を科学技術イノベーションが先導していくという意味を持つ

※3 COI(Center of Innovation)
文部科学省・科学技術振興機構が実施しているプログラムで、COIでは10年後、どのように社会が変わるべきか、人が変わるべきか、そのめざすべき社会像を見据えたビジョン主導型のチャレンジング・ハイリスクな研究開発を行っている。日立は、北海道大学、30を超える企業・機関とともに、食医融合をめざしたヘルスケアの取り組みとして「食と健康の達人」拠点に参画している

※4 セルフヘルスケアプラットフォーム
自分の健康状態を把握し、セルフケアに必要な知識を得て、自分自身で行動を改善していくことを促す仕組み

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:58| 知識