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2016年04月21日

【流 通】海女の血管年齢の若さを計測で発見


産業技術総合研究所 人間情報研究部門 身体適応支援工学研究グループ 菅原 順主任研究員は、テキサス大学 オースティン校 田中 弘文教授、フクダ電子らと、三重県志摩・鳥羽地区ならびに千葉県南房総市白浜に在住する海女121名を含む女性203名(平均年齢65歳)の血管年齢計測を行い、同年代の日本人一般女性の血管年齢より11歳程度若いことを明らかにした。また、呼吸機能の一つである呼気能力はやや低い計測結果が得られた。

動脈壁の硬さを意味する動脈スティフネスは加齢とともに増大し、心血管疾患の発症リスクとなる。これに対し、ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素性運動を習慣的に行うことで、加齢に伴う動脈スティフネスの進行を抑制、改善することが明らかにされている。また、有酸素性運動は呼吸機能の向上をもたらすことが示されてきた。しかし、海女の労働形態は息止め潜水の繰り返しであり、有酸素性運動とは異なる。それゆえ、海女の呼吸機能が平均的であるにもかかわらず動脈スティフネスが低値で血管年齢が若いことは、習慣的な有酸素性運動の効果とは別のメカニズムによりもたらされた可能性を示唆する。この知見をもとにさらに海女の活動と身体機能のメカニズムを解明することで、新たな心血管疾患予防法の創出が期待される。

今後はさらに水中運動に伴う身体機能の適応メカニズムの詳細を解明していく。これにより、既に心血管疾患を患っているような場合や、運動器障害などにより強度が高めの運動トレーニングを実施できないようなケースにも適用し得る、新しいスタイルのリハビリテーション法の提案に繋がることが期待される。また、従来とは異なる新しい身体運動サービスとして、新たな心血管疾患発症予防策の創出も期待される。

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投稿者:gotsuat 09:35| 流通