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2016年04月15日

【知 識】アステラスと産総研 「顧みられない熱帯病」の抗寄生原虫創薬に関する共同研究契約


アステラス製薬は、産業技術総合研究所(以下「産総研」)と「顧みられない熱帯病(※1))」(Neglected Tropical Diseases、以下「NTDs」)の抗寄生原虫創薬(シャーガス病)に関する新たな共同研究契約を締結した。

アステラス製薬は、世界で深刻な問題となっている「保健医療へのアクセス(Access to Health)課題(※2))」の解決に取り組んでいる。その一環として、NTDsの中でとりわけ新薬が求められているトリパノソーマ科寄生原虫症(リーシュマニア症)、シャーガス病)、アフリカ睡眠病))に関して、2012年から国内の5つの研究機関及び国際NPOと創薬共同研究(以下「従来の共同研究」)体制を構築し、新規治療薬の創出を目指してきた。

アステラス製薬は、世界で深刻な問題となっている「保健医療へのアクセス(Access to Health)課題(2))」の解決に取り組んでいます。その一環として、NTDsの中でとりわけ新薬が求められているトリパノソーマ科寄生原虫症(リーシュマニア症)、シャーガス病、アフリカ睡眠病に関して、2012年から国内の5つの研究機関及び国際NPOと創薬共同研究(以下「従来の共同研究」)体制を構築し、新規治療薬の創出を目指してきました。

アステラス製薬と産総研が新たに締結した共同研究契約(以下「本共同研究」)では、従来の共同研究の下で得られたシャーガス病の原因となる寄生原虫クルーズトリパノソーマに対する「ゲノム編集技術」及び「ハイスループットクルーズトリパノソーマ活動度アッセイ技術」などを活用し、対象をシャーガス病に絞って新規治療薬の創出に向けた研究を行います。シャーガス病はNTDsの中でも羅患数が多いうえ、十分な治療薬も存在していないことから、新規治療薬の開発が強く求められている。

本共同研究は、ゲノム編集技術により、クルーズトリパノソーマの生存に必須な遺伝子を短期間で正確に見出せるか検証することを目的としている。アステラス製薬は、主に検証に相応しい遺伝子を選択し、産総研はゲノム編集を担当する。本共同研究での検証完了後には、産総研を中心に複数の研究機関が参画する更に大きな枠組みの中で網羅的にゲノム編集を行い、シャーガス病の治療薬創出を目指す共同研究体制の構築も計画されており、それへの参画も検討していく予定にしている。

なお、従来の共同研究は、目標とするプロファイルを満たす抗寄生原虫化合物の取得に至らなかったことなどから、契約期間の満了をもって終了した。その原因は、クルーズトリパノソーマの生存に必須な遺伝子の情報が不足していたことにあり、その知見が新たに提携した本共同研究に繋がっている。また、従来の共同研究に参加する国内の2つの研究機関とともに進めてきた抗デングウイルス創薬についても、有望な化合物の取得に至らず、共同研究を終了した。


※1 顧みられない熱帯病(NTDs)
主に開発途上国の熱帯地域、貧困層を中心に蔓延している寄生虫、細菌ウイルス感染症のことで、WHOで焦点を当てている17の疾患群だけで、世界で10億人以上が感染していると言われている。未だ必要な医療を受けることができず、必要な治療薬を入手できないために、人々の生命を脅かす健康問題に留まらず、経済活動の足かせ・貧困の原因ともなっている

WHOで焦点を当てている17の疾患群
住血吸虫症、デング熱、狂犬病、トラコーマ、ブルーリ潰瘍、トレポネーマ感染症、ハンセン病、シャーガス病、睡眠病、リーシュマニア症、嚢尾虫症、ギニア虫感染症、包虫症、食物媒介吸虫類感染症、リンパ系フィラリア症、河盲症、土壌伝播寄生虫症

※2 「保健医療へのアクセス(Access to Health)課題」
アステラス製薬では、世界の保健医療において、適切な治療方法が存在しないこと、貧困、保健システムの不備、保健医療に関する情報不足が理由で、必要な医療を受けることが困難な状態を、保健医療へのアクセス(Access to Health)課題と捉え、その解決に向け取り組んでいる

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投稿者:gotsuat 09:35| 知識