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2016年03月23日

【流 通】先進運転支援システムのための交通標識認識システムの開発期間を70%削減


広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所小出准教授らの研究グループとケイデンス・デザイン・システムズ社は、広島大学で開発された交通標識認識のためのハードウェア向けアルゴリズムをラピッド・プロトタイピング・プラットフォーム(Protium(TM))へ搭載して、アルゴリズムの開発時間を70%削減した。

近年、自動車普及台数増加による交通事故の増加が深刻化しているが、交通事故の主な原因として発見の遅れ、判断・操作ミスなど運転者によるものが挙げられる。これらの事故の要因を取り除くため、運転手の操作をアシスト(支援)することで事故そのものを防ぐ先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)が注目されている。また、ADASは車載向けアプリケーションの中でも最も急速な成長を遂げている分野の一つで、特に車載カメラを通して道路標識を認識し、ドライバーに通知するシステムに関する研究が近年盛んにおこなわれている。

そこで,今回の研究では、ADASシステムの一つとして、車両前方に取り付けた単眼カメラからの画像から速度標識を検出して、標識の速度を即時に読み取る組込みシステムの開発を目的とした。

広島大学が開発した交通標識認識アルゴリズムは、矩形パターンマッチング、円検出、数字認識の3処理で構成され、夜間や雨天時、標識に傾きや歪みがある場合にも対応できる。また、簡単な計算で抽出可能な特徴量を使い、瞬時に道路標識認識を行うことができるため、非常に小型な集積回路に実装することが可能であるという利点を有している。今回、広島大学は、3つの処理のうち矩形パターンマッチングをラピッド・プロトタイピング・プラットフォーム(Protium(TM))へ実装し、ハードウェアとソフトウェアの協調設計を行うことで、システムの最適化と開発期間の短縮を行った。

ラピッド・プロトタイピング・プラットフォーム(Protium(TM))は、ケイデンス・デザイン・システムズ社が開発している、早期の設計段階からハードウェアとソフトウェア開発が可能なプロトタイピング・プラットフォームで、これを用いることにより、プロトタイプの立ち上げ時間を従来と比較して最大70%削減し、何ヶ月もかかっていた工程を数週間に短縮することによって生産性を向上することができる。今回の広島大学の報告は、複雑な画像処理システムのプロトタイプの早期立ち上げに効果的な実証事例の一つとなった。

小出准教授らの研究グループでは、標識認識アルゴリズムおよびシステム開発を加速するため、ケイデンスと緊密に協議を行いラピッド・プロトタイピング・プラットフォームの適用をすすめてきた。これによりプロトタイプシステムの立ち上げにかかる期間を短くすることができ、アルゴリズム開発に集中することができると考えている。今後は、Protium(TM)を活用したソフトウェア/ハードウェアの協調設計による更なる改良をおこない、アルゴリズムとハードウェア開発の生産性向上を目指す。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通