<< 前のエントリ合通ロジのトップページへ
2016年01月19日

【流 通】場所や時間に応じた情報配信を行うIoTシステムの共同研究・実証実験に向け取り組み開始


神戸デジタル・ラボ(以下KDL)、京都大学、電気通信大学は、三者で研究開発を進めているデータ活用技術「マイクロナレッジ技術」を用いて、モバイルソーシャライズシステムフォーラム(※1)会員である三井不動産リアルティ、ポテンシャルユナイテッドとともに、駐車場の利用者の行動履歴を活用して個々人に最適な情報を配信する「駐車場データと周辺環境の関係性に基づく情報配信の最適化」の実証実験に向けた取り組みを開始する。

マイクロナレッジ技術とは、画像や音声、行動履歴などのコンテンツを場所や時間などの周囲の状況とともに「出来事を表すナレッジ」として数値化し、周辺の状況を介してコンテンツ同士を結び付ける技術で、KDL、京都大学、電気通信大学が開発した「関係性技術(※2)」の応用技術として研究を進めている。

近年のデータ活用では、センシングデータを利用してひとりひとりの嗜好に応じた情報配信やレコメンドをするなどの「パーソナライズ」への活用が主流になっている。しかし、従来人の行動は時間や場所、一緒にいる人に応じて変化するものであり、必ずしも個人の嗜好のみによって決まるものではない。その一方、スマートデバイスや街中にあるセンサによって、画像や音声、行動履歴などのコンテンツが記録され集約されつつありますが、活用には至っていない。

KDL、京都大学、電気通信大学はこの2つの課題に着目し、「マイクロナレッジ技術」を用いてセンサデータを状況に応じたサービスに活用するためのIoT技術の研究を開始した。同技術を使えば、時間や場所に応じて変化する人の関心度やニーズをより早く細やかな粒度で判断し、サービスを提供できる可能性がある。

取り組みでは、マイクロナレッジ技術を用いて三井不動産リアルティが管理・運営する「三井のリパーク」駐車場の利用者の行動履歴(※3)と周辺情報を組み合わせてナレッジ化し、情報を配信する実証実験を予定している。例えば、この時間のこの場所ではそのユーザーにどのようなニーズがあるか、を判断して情報配信する等のサービスを想定しており、将来的には、駐車場利用者に対してその目的地となりうる周辺施設等をレコメンドするなど、移動通信を活用したIoTシステムによって、WEBアプリやカーナビなどによる新たな駐車場サービスの創造を目指す。

今回取り組みでは、平成27(2015)年度中にマイクロナレッジ技術の手法を確立し、実証実験のデータを収集するなど準備を進め、平成28(2016)年度中に、アプリケーションを用いた実証実験を2回予定している。なお、同事業は総務省の「戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)」の平成27(2015)年度研究開発課題の公募のうち、重点領域型研究開発の中で採択された。


※1 モバイルソーシャライズシステムフォーラム(MSSF)
KDLと新熊准教授が主宰する、関係性技術の研究成果の産業応用を目的とした産業化推進フォーラム。2011年9月30日に設立。現在約70の企業/団体がマーケティングや予防保全などの用途で関係性技術のサービス化に取り組んでいる

※2 関係性技術
人や場所やものなど様々な関係性を見える化する技術で、場所や時間によって変化する関心度の変化を予測することができる。京都大学 新熊亮一准教授が発案し、KDLなどが開発している。2013年5月には、モノの成長性を予測する実験で80%の的中を実証した

※3 行動履歴
ここで記載する「行動履歴」とは、利用者の興味や関心を分析するための情報であり、個人情報の保護に関する法律に定める個人情報には該当しない

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:45| 流通