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2015年09月03日

【流 通】鹿島 設計から維持管理まで、最先端の遮水機能を備えた最終処分場を建設


鹿島は、設計施工一括発注方式にて受注した熊本県公共関与管理型最終処分場(名称:エコアくまもと)建設工事において、設計段階で斜め柱式覆蓋構造や階段型集水ピットを提案し、また遮水シートの保護機能を充実させるとともに、万一の漏水に対して漏水検知システムを設置するなど、最先端の遮水機能を備えることで、漏水による地下水汚染を回避する最終処分場(クローズド・無放流型)を建設している。今後、当工事で得たノウハウを活かして、周辺環境に配慮した、より安全性が高い最終処分場の実現を目指し、積極的に提案する。

最終処分場の建設に当たっては、環境保全はもとより、周辺環境へさらに配慮し、地域に受け入れられる施設とする必要がある。特に当処分場の周辺地域では、地下水が豊富で井戸水が生活用水として用いられていることから、住民の方々は地下水が汚染されるのではないかと大きな不安を抱いていた。この不安を払拭するために、優れた遮水性を備えた安全・安心な施設の建設・運営が求められる。

クローズド型最終処分場には覆蓋と呼ばれる大きな屋根が必要となる。鹿島は、この屋根を支える柱を、特に浸出水が集まる底面部に配置すると、遮水上の弱点になることに着目した。そこで大屋根を、大スパンのトラス桁とこれを外柱でも支える外殻構造とすることで中柱の本数を減らし(基本設計時34本→8本)、同時に斜めの中柱とすることで底面部から柱をなくし、遮水性を格段に向上させた。

従来、浸出水は地山内に埋設された導水管によりマンホール状の集水ピットへ集められていたが、漏水の発見が遅れ、導水管の補修が難しいなどの課題があった。そこで、集水ピットを法面部に沿わせる形とし、さらに内部に階段を配した構造とすることで点検が容易となり、また補修等の維持管理により漏水を未然に防止できるようになった。

エコアくまもとの遮水工は、埋立期間15〜20年と安定化期間15〜20年(見込)を合わせて30〜40年という長期に亘って遮水性能を維持するため、底面部では二重の遮水シートとベントナイト混合土による多重遮水構造となっている。

鹿島では、これに加えて 1)ベントナイト混合土の下層にコンクリート層を設けてベントナイト混合土を十分に締固める 2)遮水シートの上下面に不織布を設置し、シートを保護する 3)二重の遮水シート間に中間保護土層を設け、上下のシートが同じ原因で同時に破損される事態を防止する 4)最上部にセメント系安定処理土層を設け、保護土の洗掘を防止する 5)中柱と法面の接合部では、工場で一体化した遮水シート成形品を用いることで複雑な接合部での漏水リスクを低減する、などの工夫により、遮水シートを確実に施工し保護している。

漏水検知システムでは測定電極の平面配置間隔を短く(基本設計時5m→2m)し、二重の遮水シートの上下に印加電極を設けることで、誤差1mの範囲内でどのシートのどの場所から漏水しているかを検知し、早急な対応を可能としている。

今後の最終処分場は、安全・安心な施設であるばかりでなく、長期間に亘り運営・維持管理され、地域から受け入れられる機能を持つことが求められる。当工事で得たノウハウをさらに発展させ、それらを鹿島の技術として積極的に提案していくことで、持続可能な循環型社会の構築に貢献する。

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投稿者:gotsuat 07:35| 流通