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2014年07月16日

【知識】がん研と東レ 乳がん患者向けケアウェアの共同開発



がん研究会(以下:がん研)と東レは、がん医療現場における衣料ニーズの発掘を共同で行い、乳がん患者様が治療中にも快適に着用できる新しいインナータイプのケアウェアの開発に着手した。

日本人女性の乳がん罹患率は年々増加傾向にあり、1年間で5万人が新たに乳がんと診断されている。これに対する治療として外科療法、薬物療法のほか、放射線療法が行われている。放射線療法は有効な術後局所療法ですが、放射線皮膚炎の発症が認められることがある。この皮膚炎の治療には、炎症部分に軟膏を塗布し、患部を保護するガーゼを貼るのが一般的で、がん研有明病院では、保護に医療材(リント布など)を用いて、弾性包帯を加工した独自の保護ベストで保護する方法を検討してきた。一般素材の保護ベストは、伸縮性に乏しいため皮膚への刺激が強く、また軟膏や患部からの浸出液が衣服を汚してしまうなど、治療中の患者様が日常生活を送る上での負担を生じていた。皮膚障害をケアしつつ、快適に過ごせる患者用衣料があれば、患者の「生活の質(QOL:quality of life)」を改善することが期待できる。

がん研と東レはこうした医療現場のニーズに応える形で、東レが長年培ってきた先端素材開発技術を活かして、照射後皮膚炎の患部を保護しつつ、着心地やファッション性に配慮した乳がん患者向けケアウェアを共同で企画・開発した。体に柔らかくフィットするニット素材を用い、患部保護材をずれにくくするホールド性と、肌への刺激を抑えた縫製仕様によって、快適に着用でき、容易に着脱することが可能。さらに特殊な防汚加工を施し軟膏や患部からの浸出液を吸収保持し裏面に染み出しにくくすることで、浸出による外衣への汚れを防止する。また家庭での洗濯でウェアに付着した軟膏などを簡単に洗い落とせるイージーケア性を備えている。このような防汚性、伸縮性等の機能と、装用性、ファッション性を向上させた患者用のケアウェアとして、広く世界に普及できるものと期待している。

がん研と東レは、これを始めとして、患者にとって快適な医療環境を提供するための患者サポートという新しい視点から、がん治療の周辺領域に役立つ製品の開発を進める。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:38| 知識