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2014年05月20日

【環境】JFEスチール 世界初の石炭運搬船用の高耐食性厚鋼板を開発・初採用



JFEスチールは、石炭運搬船カーゴホールド(貨物倉)の腐食を抑制する画期的な高耐食性厚鋼板「JFE−SIP−CC」を世界で初めて開発し、JFE物流が発注した石炭運搬船に初採用された。

石炭運搬船のカーゴホールドでは、石炭の硫黄分が結露水と反応し希硫酸水溶液が生成され、鋼板を激しく腐食することが知られている。この腐食がカーゴホールド内への浸水などの一因と考えられており、国際船級協会連合により、塗装や腐食に対する予備厚の付与が義務付けられている。しかしながら、塗装による塗膜は積荷や荷役装置との接触により剥離するため長期の防食効果は期待できず、再塗装が必要となる。また、局所的には腐食減耗量が予備厚を上回って鋼板の交換が必要となるケースもあり、メンテナンスコストを増大させ、更に腐食が広範囲に渡る場合は、船の寿命自体に影響を与えることになる。

そこで最適な合金元素を添加することにより、希硫酸による腐食減耗を抑制する画期的な耐食性厚鋼板を開発した。この鋼板が腐食した際に溶出する合金元素が保護性の高い緻密な錆層を形成し、この錆層が石炭由来の硫酸イオンの鋼材表面への侵入をブロックし腐食の侵入をブロックし腐食の進行を遅らせる。実験室での石炭積載腐食試験では、鋼板の寿命が大幅に延びることが確認されており、石炭運送船のメンテナンスコストの削減が期待される。また本鋼板は、従来鋼と同等の溶接性や加工性を有しており、船舶建造に際しての特別な施工管理も必要としない。

同社が所有しているケープサイズの石炭運搬船において実際のカーゴホールド内での暴露試験も実施したが、実験室での腐食試験と同様に本鋼板の優位性が確認出来た。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:16| 企業の取り組み 【機関別】