<< 前のエントリ合通ロジのトップページへ次のエントリ >>
2012年06月06日

【流通】住友林業 宮崎に環境制御型の苗木生産施設を開設

住友林業および住友林業フォレストサービスは、宮崎県日向市にある住友林業フォレストサービス東郷樹木育種センター(以下:東郷苗畑)において、温室2棟・作業棟1棟で構成される「環境制御型苗木生産施設」を開設した。同施設により、通年での苗木生産・出荷が可能となり、大幅な苗木生産量増大を実現できるとともに従業員の労働環境や作業効率の向上、苗木生産コストの低減に繋げる。近年の国内における山林事業の低迷が続く中、伐採技術はもとより苗木生産の近代化や育林作業の効率化、再生産可能な木質資源の有効活用までを見据え、住友林業グループでは国内林業の活性化に取り組む。

東郷苗畑におけるスギ挿し木(※1)苗生産は、従来は露地育苗により、約7万本/年であったのに対し、同施設により温度や湿度を制御することで、通年での生産が可能となり、およそ3倍の約20万本/年もの生産が実現できる。住友林業社有林では1993年から2006年まで非皆伐施業を行なってきたが、伐期を迎え本格的な皆伐施業に移行していくためには、優良な苗木を大量かつ廉価に生産するシステムが不可欠であり、当初は九州の社有林向けに生産を行う予定にしている。

苗畑での露地育苗は、一般的に植栽時期が春先に限定されるが、同施設において専用の育苗容器を使用したコンテナ苗木(※2)と呼ばれる土付き苗木の生産をすることで、厳冬期以外の通年での植栽が可能になり、労働力の平準化が図れる。

温度・湿度の最適管理はもとより、一人でも1500本以上のコンテナ苗木を載せた育苗用の専用台(ベンチ)を移動できる「ムービングベンチ方式」を採用することで、労働環境の改善と作業効率の向上につながる。

通年にわたる大量生産と作業の効率化により稼働率の高い施設運用を行うことで、挿し木苗の販売単価を低減することが可能となる。

九州各地で約1000個体ものスギのDNAを採取して分析し、将来的には、植栽する土地条件に適した挿し木苗を計画的に生産できるよう、DNAのデータベース化および採穂園(※3)の整備を実施する。今後も森林造成に適した苗木の規格・植栽の時期や方法について追及する。

※1 挿し木
植物の枝や茎を切り取り、土に挿して発根させることで植物を増やす手法。優良な品種をクローン増殖する事が可能

※2 コンテナ苗木
育苗用培土を入れた専用の育苗容器で生産された土付き苗。従来の裸苗に比べて通年植栽が可能。また、複数個をトレイ状にセットすることで移動作業の軽減化が可能

※3 採穂園
優良個体の実用種苗として挿し木でクローン化した苗を大量生産するために、挿し木用の穂木(挿し穂)を生産する専用の樹木園

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通