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2012年05月07日

【流通】ハザマ「解体コンクリート塊の再生利用技術」を用いた工法を開発

ハザマは、震災コンクリートがれきの再利用を促進するために、東北大学大学院工学研究科 久田真教授の指導のもと、同社技術の「コンクリート再生材を用いたセメントベントナイト複合固化体工法『Grand−M工法(ガランダム工法)』(※)」を用いた工法を開発し、実用化に目処をつけた。

震災コンクリートがれきの再利用には「破砕の手間を省き大粒径のコンクリート材を用いた場合の影響」「付着した海水塩分の影響」「重金属類等の有害物質の溶出」などの課題が想定される。ハザマは震災以降、これらの課題を解決する再利用技術の開発に取り組んできた。

従来は大粒径の粗粒材を用いると、できあがる複合固化体の密実性が低かったが、同工法では、震災コンクリートがれきを分級・粉砕して、粒径40mm以下のコンクリート材を用いた通常のガランダム工法による複合流動体と、粒径40mm超から300mmの大粒径コンクリート粗粒材を混合して打設することにより、密実性の高い複合固化体を製造することができる。

粗粒材は体積比で30〜40%程度混合することが可能で、その分、コンクリート塊を小割りにしてさらに粒径40mm以下にまで破砕する手間を大幅に軽減することができる。粗粒材を混合したときの圧縮強度を測るため、最大粒径100mmの粗粒材を含む大型試験体の圧縮試験を行い、標準的な配合で10〜12N/mm2、低強度型で7N/mm2の強度が得られることを確認した。より大きな粒径300mm程度の粗粒材を混合することも想定し、今後、施工方法と強度について現場施工実験により実証する予定にしている。

海水に浸かったことによってコンクリートがれきに付着した塩分の影響については、室内実験でコンクリート破砕材に塩分を添加した材料と添加しない材料を用いて、練り混ぜ後の流動性の変化や硬化後の圧縮強度を比較した結果、両者に差が無いことが確認でき、ガランダム工法を利用すれば施工性や強度への影響がないことが確認できた。

また、津波で運ばれてきた重金属類などの有害物質がコンクリートがれきに付着していることが懸念されるが、土壌の含有量規制値に相当する濃度となるように重金属類をコンクリートがれきに添加し、これを材料とした複合流動体の溶出試験を室内実験で行った結果、溶出量は地下水環境規制値内に収まることが確認できた。なお、実際は関係者の了解を得た上で、現地で発生したコンクリートがれきを用いて封じ込め効果を確認することが必要となる。

以上の課題を解決した上に、もともとガランダム工法には、材料分離の防止にベントナイトを用いた独自の製造方法により均一な品質が確保でき、さらにコンクリートと同様な流動性を有するので施工性が向上(粗粒材の転圧が不要)するという特長がある。粗粒材を混練しても工法本来の特長は維持されることを一連の実験で確認した。

これらの特長を利用して、重要構造物・施設の基礎地盤や高台移転における宅地・施設の基礎地盤、盛土や地盤嵩上げの中詰め材、擁壁基礎地盤の補強、構造物基礎の洗掘防止材、沈下抑止固化杭の材料など様々な用途に展開していくことができる。

※ ガランダム工法
細かく砕いた解体コンクリート塊と、水・ベントナイト・セメントを混合したセメントベントナイトスラリを練り混ぜてコンクリート状の複合流動体をつくり、基礎下に打設する置換コンクリートの代替材料や、埋め戻し材などの地盤材料として利用する。解体コンクリートの発生現場内で破砕から製造、打設までできる工法として開発しました。2008年に建設技術審査証明取得、NETIS登録(No.KT−100069)

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通