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2012年04月24日

【知識】日立製作所 ロシア連邦送電公社と包括協定締結

日立製作所は、ロシア連邦送電公社(「統一電力システム連邦電力グリッド会社」(Federal Grid Company of Unified Energy System 以下:FGC UES))と電力事業分野に関する包括協定を締結した。日立製作所は、FGC UESとともに、ロシア連邦でのEMS(※1)や給電所の省エネ化、また変電所の遠隔監視・診断や大規模系統の安定性・信頼性向上など、送配電に関連する幅広い共同技術検証および実証実験を計画・実施し、将来のロシア連邦における新たなエネルギー・インフラ事業に貢献する。

今回の包括協定は、電力事業分野における長期的な相互の科学技術協力を狙いとして締結されたもので、日立は、FGC UESと協力して、送配電ネットワークに関する系統の設計・建設や運用に関わる先進的な装置・システム開発などを行う。具体的には、両社は電力業界におけるITと電力インフラを融合した革新的なシステムの開発に関して協力するほか、FGC UESの変電所にて、情報制御ネットワークに関するシステム管理や電力設備の遠隔監視システムなどの技術検証および実証実験を行う予定。また、FGC UESの研究所では、系統安定化システムの検証に加え、ビルの省エネ化、EMSや再生可能エネルギー、蓄電池、電気自動車や他の機器の導入など、幅広い分野で実証実験を含めた協力を進めていく予定。

さらに、ロシアにおいて今後導入の拡大が見込まれる新たな装置やシステム(GIS(※2)、アモルファス変圧器、STATCOM(※3)、HVDC(※4)、EMS、DMS(※5)など)について、エンジニアリング、規制対応、技術支援・認証などについても積極的に情報交換を進め、電力事業分野における市場開拓を推進する。

日立製作所は、2012年4月1日に日本AEパワーシステムズから変電・配電事業を承継し、電力流通事業部を設置した。これにより、ITと電力インフラの融合による新たな価値創造とともに、発電からスマートグリッドまで一貫して提供できる体制となった。今後は、さらにこの強みを生かし、グローバルに事業を展開する。

※1 EMS(Energy Management System)
電力の供給と需要のバランスを最適制御し、電力の安定供給を図るシステム

※2 GIS(Gas Insulated Switch)
変電所において、SF6ガスで満たした密閉容器内に開閉器・電線路類を高密度格納した設備

※3 STATCOM(Static Synchronous Compensator)
半導体スイッチングデバイスを用い、電力安定供給や電力品質の向上に寄与する装置

※4 HVDC(High Voltage Direct Current)
三相交流電力を直流電力に変換し、送電する方法。長距離送電では、通常の交流送電より電力損失が小さい長所がある

※5 DMS(Distribution Management System)
配電系統の監視制御を行い、停電事故などを早急に復旧させるシステム

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:35| 知識