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2012年02月10日

【流通】東大先端研と日本マイクロソフト 障害児の入学試験を支援するソフトウェアを共同開発

東京大学先端科学技術研究センター(以下:東大先端研)と日本マイクロソフトは、肢体不自由や学習障害の児童・生徒たちが、高校・大学などの入学試験において合理的な配慮を受けられるようにすることを目的に、支援ソフトウェア「Lime(ライム)」を共同開発、無償で公開した。教育機関が同ソフトウェアを利用することで、障害のある児童・生徒の試験において、改正・障害者基本法の定める『合理的配慮(※1)』を容易に提供することが可能になる。

昨今、障害のある児童・生徒が日常の学習においてパソコンを利用する例が増加している。一方で入学試験などの場では、児童や生徒が普段の学習状況と同じようにパソコンの利用を希望した場合、日本特有の事情として、「日本語入力ソフトウェアの変換候補から漢字の表記がわかってしまう」などの理由で、他の受験生との公平性を担保できないことから、入学試験におけるパソコン利用の特別措置が認められないという事例が報告されている。この状況を解消するため、特別な機器や設備を必要とせず、市販のパソコンにおいて誰もが利用可能な解決策が求められていた。

支援ソフトウェア「Lime」は、Windows(R)が持つアクセシビリティ機能と、日本語入力ソフトウェア「Microsoft Office IME 2010(以下:Office IME)」を活用し、他の受験生との公平性を保ちながら、障害のある児童・生徒が入学試験においてパソコンを適切に利用するための機能を提供する。共同開発にあたっては、日本マイクロソフトでアクセシビリティ技術を担当するプログラムマネージャーと、Office IMEの開発を担当するエンジニアリングチームが技術協力を行いました。

同ソフトウェアがインストールされたパソコンでは、日本語入力時に変換候補として表示された漢字がすべて保存(ロギング)されるため、受験生が試験中に適切にパソコンを利用していたかどうかを、試験後に確認することができる。この機能は、主に肢体不自由や学習障害などの理由により筆記用具を使用することが困難な受験生の試験における利用が想定される。また今後、任意の漢字を変換候補に表示させない機能など、その他の受験生のニーズにも対応する機能の追加も検討している。これにより教育機関は、障害のある受験生に必要かつ適切な配慮をしながら、公平、公正な試験を実施することが可能となる。

※1 『合理的配慮』(Reasonable Accommodation)
2006年、国連本会議において採択された「障害者の権利に関する条約」に明記されている概念。日本でも、2011年に改正された障害者基本法においてこの考え方が盛り込まれ、今後、関連法案の整備が検討されている。

「障害者基本法」 第四条 二項 差別の禁止
社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通