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2011年11月09日

【物流】震災後 物流サービス・製品の選定基準は「リスク分散」へ

国際物流総合展を事務局を務める日本能率協会(JMA)と日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は、2012年9月に開催する「国際物流総合展2012」に向け、全国の物流関連企業の担当者を対象にアンケート調査を行った。その結果から、東日本大震災の前後で、物流サービス・製品を選ぶ際に「省エネルギー」「企業の事業継続性」を重視する人が増えたことや、4割が「拠点の見直しを検討」し、そのなかでも国内拠点の二極化、チャイナ・プラス1の海外戦略など、業界動向が読み取れた。

事務局では、この調査結果に基づき展示企画を決定し、出展企業の募集を開始する。災害時にも物流を途切れさせないための「リスクマネジメント」を新たな出展分野として新設し、生産・物流拠点の移転、増設を検討している企業に向け「工業団地」「流通団地」や「税制優遇制度」などを提案する特別企画「拠点進出ソリューション」を設ける。

今回の調査結果のポイントは以下の通り。

1.震災後、物流サービス・製品の選定基準が「価格」「性能」から「省エネ」「継続性」に変化

物流サービス・製品を選ぶ際の震災前後の意識変化を聞いた設問では、震災「前」に意識していたことは、1位「価格」(75.8%)、2位「品質・納期」(67.3%)、3位「性能」(60.7%)であったのに対し、震災「後」に意識していることは、1位「品質・納期」(60.8%)、2位「安心・安全」(50.9%)、3位「価格」(47.4%)であった。震災「前」「後」の変化を比較すると、「価格」「性能」が大きくポイントを下げた。一方、「省エネルギー」「企業の事業継続性」が大きくポイントを上げており、従来のコストやパフォーマンス重視の選定に変わり、リスクマネジメントやエネルギー効率が新たな基準として注目されていることが伺える。

2.震災発生を機に、4割が生産・物流拠点の見直しを検討

震災発生を機に生産・物流拠点の見直しについて聞いた設問では、「見直しをする」との回答が39.9%、「見直しをしない」との回答が60.1%となった。効率化の追求による拠点集約化から、リスク回避を考えた拠点分散化にシフトする傾向が現れている。背景には、東日本大震災発生時に流通経路が分断されたことがあり、有事の際も輸送ルートを確保するために、コスト削減だけではなく事業継続を考慮し、バックアップ機能として拠点分散を検討している企業が出てきたと考えられる。

3.拠点として関心があるのは、国内「近畿」、海外「チャイナ・プラス1」

生産・物流拠点の見直し先として関心のある国・地域を聞いた設問では、「国内」77.3%、「海外」22.7%となった。「国内」と回答した方の中では「近畿地方」(21.8%)が最も多く、多くの拠点が集まっている「東京」に加え、東西での拠点の二極化傾向が見られた。また、「海外」と回答した人の内訳は、アジアが8割以上を占めた。そのうち「中国」(41.5%)が最多だが、「ベトナム」「タイ」(17.8%)、「インド」(11.9%)と「ネクスト・チャイナ」と呼ばれる国が約5割を占め、企業のリスク分散動向が伺える結果となった。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 13:20| 行政関連