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2011年10月07日

【流通】日立製作所 海外での鉄道事業向け鉄道システム統合シミュレーターを開発

日立製作所は、海外での鉄道システム事業の拡大に向けて、鉄道の輸送力やエネルギーコストなど現地の鉄道事業のニーズに即したシステムを構築する、鉄道システム統合シミュレーターを開発した。海外の鉄道システム事業においては、メーカーによる鉄道システム全体の提案が求められており、日立製作所では同シミュレーターを活用し海外向け鉄道システムにおける提案力強化を図る。

海外においては、国や路線により異なる電力供給方式(直流/交流)、多様な車両、電化/非電化区間の乗り入れなどを考慮した包括的な鉄道システム提案が求められている。同シミュレーターでは、車両設備、信号設備、運行管理設備、電力設備など、複数の設備の連携を考慮した大規模な鉄道システムを再現することで、鉄道システム全体を包括的な視点で評価することができる。また、技術の進歩により新しい設備が導入された場合においても、その効果を評価できる柔軟性を有している。同シミュレーターを活用することで、設備の最適配置や、適切なエネルギーの分配が可能となり、グローバルな鉄道インフラ整備計画に対し、最適なソリューションを迅速に提供することができる。今回開発した技術の特長は以下の通り。 


1 鉄道システム総合評価解析技術 

鉄道システム全体を構成するサブシステム(車両設備、信号設備、運行管理設備、電力設備など)の単体動作を再現するともに、サブシステム間の相互作用や連携制御を考慮できるシミュレーターを開発した。合わせて、評価目的に応じてサブシステムのモデルの詳細度切り替え/組合せ変更を容易に実現できる技術を開発した。これにより、車両単体の走行性能の評価から、複数路線での乗り入れ運行など、各サブシステム内部で発生した現象が他のサブシステムに与える波及効果および、消費エネルギーなど鉄道システム全体の性能に与える影響を算出することを可能とした。 

2 多様なエネルギー供給源を有する鉄道システムの解析技術 

鉄道システムのエネルギー供給源は、国や路線により異なる。車両電源には、変電所を経由して供給される電気を使用するものやディーゼルエンジンなどの内燃機関を利用するものがあり、また、変電所の電力供給方式には直流/交流、さらにはそれらが混在した路線がある。これらの多様な鉄道システムに対応するため、各種車両に対応したエネルギーフローのモデルと、エネルギー供給源を模擬した電流/電圧源モデル、各車両用機器の動作を模擬したモデルを開発した。これらのモデルをフレキシブルに組み合わせることで、多様なエネルギー供給源を有する鉄道システムの解析を可能とした。 

同シミュレーターを用いれば、車両設備モデルおよび電力設備モデルに蓄電装置モデルを加えることで、蓄電装置の車両設備あるいは地上設備への導入による省エネ効果を定量的に評価することが可能となり、蓄電装置を用いた最適な鉄道システムの提案が可能となる。また、変電所容量および車両の運転間隔に依存する変電所の消費電力の変動など複数のサブシステムをまたいだ検討や、省エネや輸送量増加に向けた施策の検討を可能とするなど、世界各国の鉄道インフラ整備計画に対応した最適な鉄道システムの構築できる。今後、同シミュレーターを活用することで、日立製作所が国内で培った車両、信号、運行管理、電力の主要システムの基盤技術をグローバルに展開する。 

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通