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2011年04月28日

【流通】太平洋セメントグループ 排水中のリン回収・肥料化技術を開発

太平洋セメントと同社のグループ会社 小野田化学工業は、共同で排水中のリンを回収・肥料化する技術を開発した。

肥料の三要素である窒素、リン、カリウムのうち、とりわけリンは、その原料をリン鉱石に依存しており、我が国ではリン鉱石を産出しないため全量を海外から輸入している。

リン鉱石は、将来枯渇することが予想され、また戦略物質として産出国が輸出を規制すれば入手が極めて困難になる可能性がある。このため、国内で利用されずに廃棄されているリンを回収し、肥料として活用するニーズが高まっており、回収・資源化技術の開発が活発に行われている。しかし、肥料としての品質を確保することが困難であることや、回収コストが高いことなどにより、事業化が進んでいない。例えば国内の下水処理場には、リン鉱石輸入量に匹敵するほどの膨大な量のリンが集積しているが、リン資源として有効利用されているのはその5%程度に留まっている。

こうした状況の中、両社は、小野田化学工業が開発したリン吸着剤を軸にリン回収・肥料化技術の共同研究を進めてきた結果、今回高機能リン吸着剤「リントル(R)」の開発に成功し、リンの回収から肥料化までの技術を確立した。リントル(R)は、非晶質ケイ酸カルシウム系の材料で、リン回収能力・操作性に優れ、回収後の吸着剤はそのまま肥料として使うことができる。リントル(R)を使った排水からのリン回収技術の実用化に向けて、大阪大学大学院の大竹久夫教授と共同研究を実施している。また、リントル(R)は、農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所との共同研究で豚舎等からの排水の脱リンに加えて脱色及び消毒剤としての効果も確認され、利用手法の開発を進めている。

太平洋セメントグループでは、リントル(R)をリン発生源である下水処理場などへ販売し、回収物は小野田化学工業が購入・肥料化を行い、農家に供給する。今後、実証試験を経た後、2012年度での事業化を目指す。


※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通