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2011年04月21日

【流通】三造試験センター 地中をリアル表示できる高性能空洞探査車の調査サービス開始

三井造船の子会社・三造試験センターは、高性能レーダシステムを搭載した新たな路面下空洞探査車を製作した。今般の維持・更新時代に備えて、稼動効率を改善した新型探査車を使い、路面下の空洞調査サービス業務の空洞探知確度と迅速化の性能向上を図り、平成23(2011)年度から新型探査車を使った路面下の空洞調査業務を開始した。

探査車が求められる背景にある道路の陥没事故は、国土交通省の発表によると、平成19(2007)年度には全国で4,700箇所発生しており、その原因は、(1)圧密沈下(ガラの存在、埋め戻し時の転圧不足、埋め戻し材不良など) (2)埋設物の破損 (3)残置物の影響 (4)雨水・地下水の影響 などと考えられる。

新型の探査車は、約2.5m幅の地中内部の状況を、16素子シングルパスリニアアレイアンテナにより多測線の探査機能を有しており、従来の同社保有車に比べて、路面探査時間を半減させており、空洞の探知精度は2倍に向上した。探査車の特徴は、地中の空洞や埋設管の形状を、リアルなイメージ表示(3次元映像化)する機能を有したことで、従来は判断が難しかった埋設管の周囲に発生した空洞の探知について、反射波特性の数値解析に加えて地中の状況を可視化したことで、専門家以外でも納得できる画像を提供できる機能を付加した。

埋設管の深さが急激に変化する場所や、空洞の反射波特性に近いヒューム管など、判断が難しく時間を費やしていた解析は、リアル表示機能を駆使することで、地中の状況を判り易く表示して確認することができ、空洞探査を効率的・効果的に実施する際の改善に寄与する。

新型探査車の主要性能となる電磁波センサー部(アンテナ部)の基本技術は、コンクリート構造物の内部状況を三次元で立体表示する「マルチパスリニアアレイレーダ技術」を、探査車の稼働特性に合致させた最適システムに改良し、高速走行で連続計測が可能となっている。

センサー部は、送信アンテナと受信アンテナの組合せにより、いくつもの経路を経て地中に透過された電磁波は、空洞・埋設管・地層界面・異物・地下構造物などで反射されるため、これら多くの情報を含んだ反射波が得られる。この内部情報を含んだ反射波を、専用解析プログラムを用いて解析処理し診断するものです。この専用解析プログラムでは、地中内部の状態を任意の部分について切出し、奥行きをイメージさせることでリアルかつ立体的な画像を表示することができる。また、位置情報として、路面状況と左右・後方カメラの映像およびD−GPS信号と同期した電子情報として記録することもできる。

これらの情報から、データの視認性・客観性の向上、健全性評価・安全性管理のレベルアップを図ることができた。また、空洞調査業務の作業手順として、手押し式の装置を使用して空洞の詳細調査を行うとき、或いは、車道幅が狭いとか歩道部など車両対応が出来ない場所について、現地データ収集の効率を高めるため、3測線測定が出来る手押し式装置を同時に製作して整えている。

三造試験センターは、三井造船と連携して、マルチパスリニアアレイ装置を使用する、床版の劣化調査やボイド被り厚さ調査(中空床版橋)などのRC構造物の点検業務・健全性評価と合わせて、急速に老朽化が進む構造物の維持に貢献する調査サービスを提供する。


※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通