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2011年03月02日

【流通】清水建設 貼り付けるだけで普通板ガラスが防火設備に変身させる「防火フィルム」

清水建設は、普通(フロート)板ガラスの両側表面に貼り付けるだけで、遮炎・遮煙・遮熱性能を付加できる「防火フィルム」を開発・実用化した。すでに、フィルム貼付のガラスが防火設備に要求される20分の遮炎性能を有することを認める国土交通大臣の一般認定を取得している。なお、認定の取得に当たっては、SVCの協力を得た。

2000年導入の避難安全検証法により、防火対策の合理化が可能になった反面、避難経路等に面するガラスを用いた間仕切などの多くは防火設備としての仕様が求められるようになった。防火設備になると、単価の高い耐熱強化ガラスや意匠性を損なう網入りガラスの採用が必須になるため、普通板ガラスに遮炎性能・遮煙性能を付加できる技術の開発が求められていた。さらに東京消防庁はガラスが組み込まれた防火設備に遮熱性能を求める指導をしている。

新開発の防火フィルムは、厚さ1mmのケイ酸ソーダ性の防火基材をPET系の保護フィルムでサンドイッチ状に挟んだ構成になっている。ケイ酸ソーダは、約110℃以上の熱に接すると発泡する特性があり、火災時にガラス表面に厚さ約3〜4cmの保護層を築き、ガラスの温度上昇を抑えてひび割れ拡大を防止するとともに、その粘着力でひび割れ後のガラスの脱落を防止する。

実大検証では、普通板ガラスは100℃になったらひび割れ脱落することがあるものの、防火フィルムを貼付すると、ひび割れが生じても800℃近くになるまで脱落しないことが確認されている。また、ガラスにひび割れが生じても、その隙間を保護層が塞ぐことから、遮炎性能や遮煙性能を確保できる。さらには、火災発生側のガラス表面温度が500℃程度に達しても、反対側のフィルム表面は100℃程度にしかならず、遮熱性能の向上も確認されている。なお、同フィルムは地震等によりガラスが破損した場合の飛散防止にも効果がある。

防火フィルムはガラスに手軽に貼付できるので、新築、改修を問わず適用できる。貼付方法は、片側の保護フィルムを剥がして、水を噴霧したガラス表面に重ね合わせてフィルム全体を圧迫するだけ。

清水建設は、防火フィルムを差別化技術として活用していくとともに、2011年4月をめどにSVCを通じて外販を開始する。販売価格は、普通板ガラスと防火フィルムの材料費の合計で、耐熱強化ガラスの1/2程度になるように設定する予定。当面、幅900mm、高さ2700mmのガラス間仕切に対応した商品のみを提供し、将来的には、幅900mm、高さ2100mm程度の標準的な大きさのガラス扉や幅1500mm、高さ3000mmのガラス間仕切に対応した商品を提供する。


※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通