<< 前のエントリ合通ロジのトップページへ次のエントリ >>
2011年01月21日

【流通】世界初 電線に直結する鉄道システム用地上蓄電設備の実証試験に成功

川崎重工は、東京急行電鉄・田園都市線において、同社開発の鉄道システム用地上蓄電設備(BPS:Battery Power System)の実証試験に成功した。回生失効の抑制、省エネとCO2削減、架線電圧安定化の効果の確認を目的に、東京急行電鉄、東急テクノシステム、富士電機システムズの協力のもと試験を実施し、一般的な鉄道用電圧であるDC1500Vき電線に直結する鉄道システムでは、世界で初めてこれらの効果が期待できることを実証した。

川崎重工が開発したBPSは同社開発の大型ニッケル水素電池「ギガセル(R)」を用いて、架線に電池を直結することにより、高圧チョッパ制御装置などが不要であることが最大の特長で、また、制御装置を使用しないため低コスト化、小型化を実現し、制御遅れや制御損失がなく、信号設備などに対して誘導障害を及ぼさないことも大きな特長としている。今回の実証試験では、東急電鉄田園都市線つきみ野変電所にBPSを設置し、2010年8月より運用しており、回生失効の抑制、省エネ、CO2削減、架線電圧の安定化などの効果を確認している。

今回の計測データに基づく試算では、省エネ量は、約1,600MWh/年、CO2換算では約669t−CO2/年(※)の削減効果が期待できる。また、今回の試験では中央林間駅での最大電圧を62V低減、最小電圧を23V上昇させることができ、電圧補償効果について確認するとともに、BPS運用時間中は回生ブレーキの失効を抑止できることを確認し、さらに変電所受電電力量削減や、変電所機能代替効果(変電所の整流器を停止させた状態での車両走行)、空気ブレーキ使用頻度削減によるブレーキメンテナンスの削減の効果についても期待できることが分かった。

川崎重工は当実証試験の成功を足がかりに、DC1500V路線へのBPSの販売・普及に取組む。また、「ギガセル」をBPSはもとより、自然エネルギーの大量導入を可能とする系統安定化技術(スマートグリッド)及びスマートコミュニティへも適用拡大を図る。


※:算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧(H22/3改定)東京電力
0.000418t−CO2/kWhで算出

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 10:05| 流通