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2010年12月28日

【流通】光と熱の両方から電力を作り出すハイブリッド型発電デバイス

富士通研究所は、光と熱のいずれからも電力を取り出せる新しいハイブリッド型の発電デバイスを開発した。これにより、エネルギー源として従来は別々に利用していた光と熱を1つの発電デバイスで利用することが可能となる。さらに、コストを抑えることができ、効率のよい発電デバイスを普及させることができる。

当技術は、周りの環境からエネルギーを収穫して電力に変換するエネルギーハーベスティング(環境発電)の分野での応用が期待できる。電気の配線や電池の交換などのメンテナンスが不要になるため、センシングネットワークで用いられるさまざまなセンサーの電源や医療センシングへの適用が可能となるほか、今まで入り込めていない分野や地域へのセンサーの活用などが期待される。

開発した技術は以下の通り。

1.ハイブリッド型発電デバイスの新機構
光環境と熱環境時それぞれの場合に、2つの半導体材料(P型とN型)の接続を回路的に切り替えることで、光電池と熱電素子の2つの機能を実現した。

2.ハイブリッド型発電デバイス向けの有機材料の開発
光発電と熱発電の両方で発電可能な有機材料を開発しました。室内光でも発電能力が高く、熱でも発電が可能。安価な有機材料により製造コストが大幅に削減できる。

これまでは、光で発電する光電池と温度差による熱で発電する熱電素子を別々のデバイスで用意する必要があった。今回の技術により、1つのデバイスにもかかわらず、従来に比べて光環境と熱環境という2倍の環境で発電可能となる。これにより、たとえば病室で体温や血圧、心音などの計測をセンサーをつけて監視するような場合、光環境と熱環境が存在してはいるものの、従来のように片方の環境だけでは十分にエネルギーが収穫できないことがあったが、今回開発したデバイスにより両方のエネルギーで補うことができる。また、電気の配線や電池の交換の課題のために普及しなかった観測空白地域での気象センサーも、今回開発したハイブリッド型発電デバイスを利用することで普及が見込まれる。

※ エネルギーハーベスティング
周りの環境からエネルギーを収穫して電力に変換する技術で、環境発電とも呼ばれる次世代の新しいエネルギーとして注目されている。
従来は電気エネルギーとして、発電所からの電力か電池を利用しており、電気の配線や電池交換などのメンテナンスが必要だった。
近年、新しいエネルギー源として、身近に存在する光、振動、熱、電波などが提案されており、それぞれのエネルギー源に対応した発電デバイスが開発されている。電力を自給自足するエネルギーハーベスティングが実現すると、電気の配線や電池交換などのメンテナンスが不要になる。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通