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2010年10月29日

【流通】交通騒音のエネルギー、騒音レベルを低減する遮音バルコニーを開発

清水建設は、集合住宅のバルコニー越しに入ってくる交通騒音のエネルギーを最大70%、騒音レベルを5dB低減できる「遮音バルコニー」を開発、その実用化にメドをつけた。騒音の低減効果については、建設中の高層マンションで実施した実証実験や模型実験で確認が完了している。一連の技術開発に当たっては、九州大学・藤原恭司(きょうじ)名誉教授から技術指導を受た。

これまで、集合住宅の騒音対策はサッシの防音性能に頼っており、交通騒音が激しい場所では、サッシが高額になることに加え、眺望や居住性が損なわれる二重の窓サッシが採用されることが多い。清水建設では、サッシに頼らない騒音低減技術の研究開発に取り組み、バルコニーで騒音を低減する技術を開発した。この技術は、線路・道路沿いに建設される集合住宅で、防音壁の防音効果が及ばない中層階以上の住戸に効果がある。

住戸内に伝播する騒音は、直接波と回折波の二種類に分類される。直接波は、地上の音源が発する音のうち、自階のバルコニーの手摺を超えて直進し上階バルコニーの下面に反射して住戸内に伝播。回折波は、バルコニーの手摺を超えた時点で手摺の背面に回りこむように放射状に伝わり、一部は上階バルコニー下面に反射し、一部は直接住戸内に伝播する。

開発した遮音バルコニーは、上階バルコニー下面に設置する直接波用と回折波用の二種類の騒音反射パネルで構成される。表面が平らな直接波反射パネルは、騒音が直進して上階バルコニー下面へ入射する位置(外側)に騒音の入射角度に対して直角になるように設置する。一方の回折波反射パネルは円弧状の窪みをつけており、直接波反射パネルの内側(外から見て後ろ側)に設置します。いずれの反射パネルも、上階バルコニー下面に入射してくる騒音を住戸外に反射する。

遮音バルコニーの適用に際しては、騒音源となる高速道路や鉄道と各住戸のバルコニーの手摺との位置関係をもとに、直接波反射パネルの設置角と回折波反射パネルの設置位置を求めて、騒音反射パネルを製作する。

※ 製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です

投稿者:gotsuat 09:40| 流通